誰か、ハオの色気止めてください
最近、ハオが攻めてくる。
いや、わたしは本当に本当に嬉しくて、願ったり叶ったりなんですが、ちょっと難易度が高いと言いますか……
はい、わたし、そろそろ限界です。
誰か、ハオの色気を止めてください。
今日もハオの色気に当てられて、わたしがどうにかなっちゃうかと思った。
一線を超えなくてよかった。
いやいや、わたしはまるで男かよ、と自分でツッコミたくなる。
わたしがハオの寮部屋のソファに寝転がってたら、いつものようにハオが注意してきた。
「王女様、ソファに寝転ぶなんて、はしたないです。起きてください。」
「やだ、疲れてるからゆっくりしたい」
わたしはうつむせになってて、そのまま足をジタバタした。
ハオはわかりやすくはぁーっとため息をつくとわたしのそばまで歩いてきた。
わたしのお腹当たりにハオの両手が着く。
これは持ち上げられる?
そしてバックハグの展開?とわたしの妄想がふくらむ。
でも、その妄想はあえなく実現せず、もっとエロ展開が待っていた。
わたしのお腹付近にあった手が、服をまくってきた。
…え?何…?
わたし、今……襲われてる…?
服を少しだけグッと上に持ち上げられた。
それ以上服を上にあげたら、わたしの背中が露わになっちゃうんだけど…
こんな急展開、無理すぎるんですけど……
だめだ、心臓が耳にまで届きそう。
こんなの…私、処理能力オーバーなんですけど。
服を抑えてハオに抵抗しようとすると、わたしの腕を掴んできた。
ハオの片手はわたしの右手を掴んで離さない。
キュンとかしてる状況じゃない、これ!
ついにハオ様が本気出した?
わたし、心の準備がまだなんだけど…
「ちょっと待って。」
「いや、待たない」
即答される。
その瞬間、彼の手がわたしの背中にすーっと触れた。
触れるか触れないかの優しいタッチに、わたしの体がゾクっとする。
しかも、くすぐったくて体が勝手に動く。
「…ちょっと…ハオ!」
わたしは左手で服を押さえるのをやめた。
左手をついて上半身を起こして、ハオを睨みつける。
すると
「本命はこっちだよ」
そう言って、腕を掴んでわたしの体勢をぐるんと仰向けにさせた。
今日のハオ様、どうしちゃった…
いつもはわたしを相手にしないのに、急にスイッチ入っちゃった?
わたし、どこでスイッチ入れちゃった…?
頭の中で忙しく思考が巡る。
ハオは両手でわたしを掴んでいる。
片足はソファの上でわたしの横に膝をついている。
まるで四つん這いのこのアングル、最高のシチュなんだけど。
ご褒美特典じゃんと、こんな時もわたしの頭の中は騒がしい。
ハオはついにわたしのお腹も触ってきた。
服の隙間から見えている肌の下からすーっとまた優しく触れてくる。
ヤバい、恥ずかしい、くすぐったい、彼の色気が…
わたしは右腕で自分の顔を隠した。
「そうそう、これが本命」
落ち着いた声が聞こえる。
あ、そういえば、本命とか言ってたな…
「無防備すぎて困るよ、王女様。
そんなとこまで、俺に見せる覚悟あったの?」
わたしのおへそあたりをくるくる触り始めた。
「俺、おへそ好きなんだよね」
「…え?おへそ?」
その人はこんな色気プンプンで何を言っているの?
「俺、おへそフェチ」
ニヤニヤしながらおへそを眺めてる。
もっとエロいことを想像していたわたしが恥ずかしい。
ハオはおへそを見て、触ることができて満足らしい。
というか、そんなにまじまじおへそを見られたことがないから、急に恥ずかしくなってきた。
わたしは顔を覆っていた右手でおへそをガードした。
もうこれ以上見ないでほしい。
はぁ〜残念。
そう言ってさっと立ち上がるハオ。
その瞬間、レオハルド王子が扉を開けて部屋に入ってきた。
扉がガチャリと開いた瞬間、室内の空気がフリーズした。
わたしの体勢を見て、そしてこの部屋の空気感を察して王子は言った。
「…おっと、見なかったことにするよ。
って言いたいけど、これはちょっと無理かな。
お邪魔虫は退散した方がいいか?」
ハオの顔を見て確認している王子。
いやいや、王子に気を遣わせるなんて…
「いえいえ、全然…
わたしが疲れて駄々こねてました。
すみません」
そう言ってさっさと部屋を後にしたのだった。
リオハルド王子が、逃げるネネを見てニヤリと笑う。
「おいレオ、あと一歩だったのに。
俺が代わりに口説こうか?」
するとハオがすかさず低い声で返す。
「……ハオ。
学校の中で“本当の名前”を呼ぶな。
誰がどこで聞いてるかわからないだろ」
「あ〜悪い悪い。
つい口が滑った。癖ってこわいね」
ハオは睨むが、レオハルドはどこ吹く風で肩をすくめていた。




