表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔法世界の王女は、恋をしてはいけない人に恋をしたーアイドルを夢見るわたしですが、世の中は厳しすぎますー  作者: りなる あい
第六章 ~3年生 後期~

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

35/71

6-7. 応援された恋が、切ないなんて

ハオが、これからわたしの護衛になる。

嬉しくて、心がホクホクしていた。

お母様が、そっとわたしの肩に手を置いて寄り添ってくれる。

お母様は、いつも優しい。


「ネネ、あのね……

あなたが夢を叶える未来を、わたしたちは応援しているわ。

でもその未来には、きっと“恋愛禁止”が待っている。

だから、学生の今だけは――心のままに人を好きになって、恋をしてもいいのよ」


その言葉を聞いた瞬間、呼吸が止まりそうになった。

浮かれてる場合じゃなかったんだ。

お父様もお母様も、わたしの夢を心から応援してくれている。


それが、嬉しくてたまらなかった。けれど──

同時に、胸がぎゅっと苦しくなった。


そう、これは「期間限定の恋」なんだ。


わたしがアイドルになれば、きっと恋なんて許されない。

今だけだって、わかってる。

それなのに……わたしはハオを好きになってしまった。

身勝手に、彼を巻き込んでしまっている。

だからこそ、余計に怖くなる。

この関係が、いつか終わってしまうことが──。


わたしは少し気分が落ち込んでしまった。

その後のお父様とお母様の話はこれっぽちも聞いていなかった。


「ハオ君を側に置くことで、レオハルド王子の動向を把握できる。

レオハルド王子にとって、ハオ君は大切な従者の1人だからね。

よい牽制になるはずだ。」


「あら、そこまで考えていたの?」


「もちろんだ。

バレンシャン王国は何を企んで使節団を送り込んできたのかわからない。

表では、国交の良好にする目的だが、警戒するに越したことはない」


「そうね…」


両親の会話は上の空で聞いていなかった。

ハオと一緒に学校へ戻ってきて、寮までの道を歩く。


「どした?

俺が護衛になるのがやっぱり嫌になったか?」


寮の部屋まで送る時、わたしが無言だったからか、ハオが質問してきた。


「いや、ちょっと考え事してて」


始まったばかりの恋なのに、期間限定とわかって苦しいですなんて、言えるはずない…


「明日には元気になってるから待ってて」


手を振って別れようとすると、ハオがわたしを見つめて止まっている。

どした?

わたし、寮に着いたよ。と首を傾げた。


ハオはさっとわたしの元にやってくると、頭にゆっくり手を回して、わたしのおでこにそっとキスを落とした。


キスマークをつけられた時は強引だったのに、今は愛しい人を大切にするかのような…

ボフっと時間差で顔に熱が溜まっていくのを感じる。

廊下が暗くて良かった!


「元気出せよ」


そう言ってハオはマントを翻して、転移魔法したのだった。

廊下の静けさの中で、わたしの胸の鼓動だけが、やけに大きく響いていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ