6-6. 魔法の痕跡と嘘の代償
大広間にお父様、お母様、ハオとわたしが残る。
何どんな話をするのかな?とわたしは待っていた。
沈黙が続いた後、ハオが決意したように口を開いた。
「わたしがネネルーナ様に手を出しました。
申し訳ありません」
といい、頭を下げた。
え?ちょっと?
さっき、してませんってシラーっと嘘ついてたのに、急にどうして?
わたしは固まってしまった。
「ネネ、本当なんだね?」
お父様は優しい声で聞いてきたが、顔は笑っていない。
ハオが事実を言ってしまったし、もうこれ以上誤魔化せない。
そう思ったわたしも、
「はい、そうです」
と答えた。
でも、ハオは悪くない。
わたしのせいなのに、ハオを巻き込んでしまった。
「わたしがハオにしつこく…あの…迫ってしまったからで。
ハオは悪くないの…だから…」
どう言葉を紡いだらいいのかわからない。
「僕のせいです。
ネネルーナ様に気持ちが揺らぎました。
王女殿下とわかっていながら、迂闊に手を出してしまったわたしが悪いのです」
とハオも続けて言う。
「どちらが悪いかの話をしたいわけではないのよ。」
お母様が優しく微笑んでくれて、わたしも少しホッとする。
それにしても、なんでハオは突然、自ら事実を告げたんだろう…
「君はキスマークに刻印の魔法をかけたんだね。」
お父様が全てお見通しなように伝えた。
嘘、どんな魔法をかけたかまでわかるの?
そうだ、お父様、魔法学校を主席で卒業してるんだった…
「キスマークに魔力が残っていると、追跡魔法で発信元を逆探知できるのだ。
だから、魔法薬で消すより、何もしない方がバレにくい場合もある。
ハオ君もそれに気づいたのだろう」
うそ、わたしがキスマークを消すために何度も魔法を試していたせいで、魔力が残ってしまってバレてしまったの…
わたしのせいじゃん…
「はい、そうです。
お二人の前では嘘をつき通すことはできないと判断しました」
ハオは焦る様子もなく、認めた。
「素直でよろしい。
そして、兄のアドリアンの前で事実を言わなかったのは良い選択だった」
え?お父様、ハオの嘘を褒めている?
なんという状況なの、これ…
「アドリアンはネネを溺愛していますからねぇ。」
お母様も何だか楽しそう。
ポジティブ思考すぎて読めない人だわと、自分の両親ながらに思った。




