6-4. 高嶺の花、開花しました
これまでは王女という身分&ハオを追いかけていることがバレバレだったから、特に男子が寄ってくることはなかった。
しかし、キスマ事件のせいでその制限がなくなってしまった。
わたしはそんなこと、予想してなかった。
今、現実で起こっていることを解説してくれたのルームメイトのルカヨだった。
「ネネ、これから大変になるわよ。
男子たちが、高嶺の花&一途にハオ君を追いかけていたのに、押せばイケるかもなって話してるのをちょくちょく聞いたもの。」
「みんな、キスマはハオ以外だと思ってるんだ…」
何だか、バレたくはないんだけど、ハオにまったく相手にされてない認定されてることが無償に悲しい…
まあ、自業自得なんだけどね。
本当のことを言いたいのに、ハオに付けられましたなんて言えないし…
もーう!やだ!どうなってるのー!って叫びたい。
ルカヨが言うとおり、その後の男子のアタックはすごかった。
正直言って、想像の上をいくものだった。
図書館にいたら壁ドンされたり、急に手を引っ張られて空き教室に引っ張られたり、堂々と告白する人も出てきた。
わたしはハオがいいんだってば!
ハオしか見てないんだよ!
もう、片時もハオから離れない。
そう決めてやるんだから。
そう意気込んでいたら、わたしに最大の危機が訪れた。
「ネネルーナ、たまには家族揃って食事をしよう。
今週末、王城へ帰ってきなさい。」
とお父様から連絡があったのだ。
夕食会までキスマが付けられて約1週間の猶予がある。
キスマって普段はどのくらいで消えるの?
しかも、刻印の魔法もついてるし…
週末までにどうか消えますように…
心の中で何度も神頼みした。
そして、時間の問題だと思っていたことも予想通り起きた。
お兄様がこっちへ来る。
わたしを睨みつけながら…
噂がお兄様にも届いたんだ…
お兄様からは逃げられない。
もうこのまま素直に掴まえられよう。
お兄様はわたしのこと、溺愛しすぎなのよ。
こんなんじゃ、婚約者ができないと心配になるわ…
お兄様のことを心配してる場合じゃないけどねと苦笑いをしていると、わたしのそばにやってきたお兄様がわたしの顎を優しく掴んでクイっと顔を動かした。
キスマがお兄様の前であらわになる。
いくらお兄様でも、キスマなんてそんなガッツリ見ないでいただきたい…
言っても無駄だけど…
「誰が付けたんだい?」
優しく笑いかけながら質問してくるが、お兄様、目が全然笑ってないですよ…
「それは…秘密です…」
「ネネに手を出した奴、絶対に暴いて見せる」
お兄様がわたしのキスマに優しく触れる。
周りからきゃーっと歓声が聞こえる。
そう、私たちは禁断の恋、兄と妹の恋を推す人たちから人気なのだ。
そんなこと絶対にありえないのに、お兄様の溺愛っぷりがすごすぎて…
勘違い&妄想したい人多発なのだ。
「お兄様、助けてください。
週末の家族の夕食会までにこの跡を何とかしたいんです」
わたしはお兄様にうるうる瞳でお願いしたが、効果なしだった。
「俺にとっては正体を暴く方が大事だ」
そう言って、すたすた歩いて自分の学年に戻って行った。
詰んだ…




