6-3. 刻印の魔法にかけられた翌日
翌朝、明るいところでわたしの首を見て、嬉しい気持ち反面、非常にまずいことになったと思った。
幸い、寮暮らしだから親に見られることはないけれど…
髪の毛で隠そうにも、やっぱり見えてしまう位置。
嬉しいけど恥ずかしい…
これで学校へ行くのは流石にまずいから、魔法で消そうとしたけど、やっぱり消えなかった。
これが刻印の魔法か…恐るべし。
しかも、その後、ルカヨには一発で見つかってしまった。
「ネネ!それやばいよ!
絶対みんな気づくって!
それ魔法で消しておきな」
「いや、実は刻印の魔法をされちゃって消せなくて…」
「なにそれー!
どんだけ独占欲強いのよ…
誰に付けられたの?」
「それは…
恥ずかしくて言えないんだけど…」
「まさか、ハオ君じゃないよね?
昨日、買い物の後、帰ってくるの遅かったし。
でも、いつもネネがアピールしてるのに、全然なびかないから、ハオ君ではないか…
じゃあ、他の人だとしたら誰?」
「やっぱり…
さすがに言えないっていうか…」
「ちょっとー!気になるじゃん!
ハオ君じゃないとしたら誰よ…?」
そう言いながら、朝食のために学食へ向かう。
こういう時は、平常心。
いつも通り、普通にしていれば大丈夫。
学食の大広間にはハオの姿があった。
いつも規則正しく、早めに起きて朝食を食べにきている。
わたしを見るとスッと顔をそらす。
そして、いつもどおり塩対応。
いつものわたしならおはよう攻撃で突進するんだけど…
あれ?どうやってしてたっけ?
でも、ここでいつもと違うと怪しまれちゃうし…
よし!飛びついちゃおう!
「ハーオ、おはよう」
ぎゅっと腕にくっつく。
「朝から暑いな。やめてください」
迷惑そうな、めんどくさそうな顔を向けてきた気がした。
その表情を見て、よし!いつもどおりできた!と安心したわたしだったが、昼頃には急展開を迎えていた。
午前中の授業が終わり、昼食を取るために移動していると、ルカヨが走ってきた。
「ちょっと!ネネ!
あなたのキスマが噂になって大変なことになってるよ!」
「え?なんで?
そんなにバレちゃうもの?」
バッと手でキスマークを隠す。
もう遅いけど…
みんなよく見てるな…
キスマを甘く見てた…
「あなた、いつもハオ君一筋だから気づかないかもだけど、男子生徒はあなたを注目してるのよ。
みんなのアイドルネネルーナにキスマを付けた輩は誰だって噂になってる」
「いやいや、みんなのアイドルって…
わたしまだアイドルになれてないよ」
「何言ってるの。
あなたは学校のアイドルよ。
自由奔放で天真爛漫なね」
「ちょっとー、どうしようこれから…
刻印の魔法かかってるから消えるまで時間かかっちゃうじゃん」
わたしは知らなかった。
この刻印のせいで、男子生徒を煽ることになってしまうなんて…




