28/70
5-6. ハオ視点:覚悟の示し方
俺は口封じの魔法がどんなものか、身をもって知っている。
一度、抗ったことがあるからだ。
あの時の苦しさは今でも忘れられない。
そんな強力な魔法だと知っていて、それでも俺はソランティア様に頼んだ。
ソランティア様が記憶装置の魔法を考えていることも、何となく予想できた。
自分がもし同じ立場だったら、そうすると思ったからだ。
でも、記憶装置だけはどうしても避けたかった。
ネネルーナに関する記憶を消したくない。
彼女との思い出も。
消されるくらいなら、その責任を背負ってずっと生きていく方がマシだ。
俺の覚悟を知れば、信頼にも繋がるはずだ。
ここまですれば裏切らないだろうと…
やるしかない。
もう、後戻りはできないのだから——。




