4-3. 仮面の向こうの素顔
球技大会は無事に終わったのに、それはわたしにとって波乱の始まりだった。
仮面をつけてのスポーツは危ないからと、素顔を晒した使節団のメンバーたち。
もう一学年終わる時期に来ているが、これまで彼らはずっと仮面をつけていた。
しかし、今度はサーラーン王国の文化にならって、今後は仮面なしで学校生活を送ることになったのだ…
……なぜ、そうなった?
誰の意見で決まったの…?
わたしの心は穏やかでいられない。
球技大会の時でさえ、嫌で嫌で仕方なかったのに、これからはずっとハオの美顔が拝めるのだ…
そう、女子生徒たちがハオに群がってしまう…
わたしだけがハオのかっこよさを知ってるんだから!
プンスカと意気込んでいるわたしに、ルームメイトのルカヨが声をかけてきた。
「ネネ、朝から何鼻息荒くしてるの?」
「鼻息荒くなんてしてない!
わたしは、使節団の人たちが仮面なしで過ごすことになったのが許せないの!」
「あ〜、そのことね!」
呆れているルカヨの横で、わたしの感情は治るはずもない。
「ハオのかっこよさは、わたしだけが知っていればいいのー!」
「ネネ、安心しなさい。ハオ様の鉄壁の壁を壊せるのはあなただけなんだから」
そう言って、怒っているわたしをなだめるように、わたしの肩に手をおいてニコッと微笑む。
わたしの状態に関係なく、いつも話を聞いてくれるし、意見してくれるルカヨには、とても助けられている。
「う…わたしだけであって欲しい…」
泣くふりをするわたし。
本当に泣きたいくらいよ…!
「使節団の方も、これまでは仮面で距離があったと思うけど、仮面を外すことで、サーラーン王国の生徒たちに受け入れてもらいやすくなると思うわ。
せっかく留学に来ているんだもの、彼らにとってもその方がいいんじゃないかしら?」
確かに、ルカヨの言う通りだ。
使節団にとって、距離が縮まることはきっといいことなのだと思う。
ハオの美顔のことばかり考えていたが、使節団にも思惑があることを、わたしは知る由もなかった…




