4-2. レオハルド王子視点:球技大会の裏側
ネネルーナ王女殿下とハオが並んで戻ってきた。
周囲の女子生徒たちの嫉妬の視線が、確かにネネルーナに向けられているが、彼女はきっと気づいていない。
「サーラーン大国の王女様が、他国の騎士にべったりなんて許されるの?」
そんな声がひそひそと漏れる。
確かに、外から見れば王女がべったりな印象だ。
でも、内心では思う。
ハオもけっこうネネルーナを大切に思ってるんだよな、と。
遠くから二人を見れば、ハオの美形に負けず劣らず、ネネルーナも愛らしい。
お似合いに見えるのも無理はない。
ただ、それを口にできない自分がいる。
茶化したくなる気持ちを抑えながら、ハオに話しかける。
「ネネルーナ、大丈夫だったか?」
「ああ、治癒魔法で直してもらってた。」
「それにしても、あの光景はすごかったな。
まるで計算されたかのように、ネネルーナに直撃して。
あの王女は本当に持ってるな」
「ほんと、それな。ネタにしかならない」
「ところで、お前、独占欲強くないか?」
「は?なんで急に?」
「王子の手を煩わせたくないって、お姫様だっこして行っただろ」
「ただ本当のこと言っただけだけど?」
ハオは涼しい顔で言い放つ。
「こいつめ…」と思いながら、ハオをにらむ自分がいる。
ただ、今は球技大会の真っ最中で、俺たちは仮面を外している。
普段よりも多くの視線を感じるのも事実だ。
近くの生徒たちが俺たちの会話に注意を払っている気配もある。
本当はもっと追求したいが、ここはこのくらいにしておくか。
「さあ、俺たちも怪我なく試合しよう」
自分たちの出番が近づき、二人でコートへ歩き出した。




