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魔法世界の王女は、恋をしてはいけない人に恋をしたーアイドルを夢見るわたしですが、世の中は厳しすぎますー  作者: りなる あい
第15章 ~選ばれた未来~

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15-4. 待ってたよ、わたしの王子様

ラストのエピソードです!

あの家族での夕食会の後、レオに提案されたのは、バレンシャン王国での親善公演だった。

全国ツアーが終わったばかりのタイミングでもあり、LUMINAはすぐに準備に取りかかった。


数週間前、レオは国民の前で王子としての任命式を終えている。

わたしはお父様の影であるクロにお願いして、その場に立ち会わせてもらった。


ミドバーレ魔法学校で出会ったときは、ただの従者だと思って疑わなかった。

それが今では、バレンシャン王国の国王だなんて。


大切な人であることに変わりはないのに、

その背中が、ほんの少しだけ遠くに見えた。


わたしはアイドルで、レオは王子。

これから先、会うことは今まで以上に簡単じゃなくなるかもしれない。


おめでたい瞬間なのに、

胸の奥に小さな不安がよぎった。


――大丈夫。

すぐに親善公演で会える。

そう自分に言い聞かせて、わたしはサーラーン王国へ戻った。





親善公演は五つの都市で行われた。

これまで二度訪れたバレンシャンとは、まるで違う空気が流れていた。


一度目は、何かを求めるような切実さ。

二度目は、混乱と恐怖。

そして今――

人々の表情は穏やかで、空気は開かれている。


レオが国王になってから、この国は確かに変わり始めている。

それを肌で感じられることが、誇らしかった。

彼の選択が、新しい風を生み出している。


今日は、五回目――最後の親善公演。

会場の熱気は最高潮だった。


最後に『hope』を歌う。

客席のあちこちで、涙をぬぐう姿が見えた。

歌声とともに、希望の光が広がっていく。


ここまで、本当に長かった。

学生生活。

離れ離れになった時間。

命を狙われた日々。


それでも――

やっと、平和が訪れた。

もう、これ以上は求めない。

大切な人が、笑っていてくれるなら、それでいい。

歌いながら、涙が止まらなかった。


そのとき。


「あれは! レオハルド王子だ!」

「漆黒のドラゴンが来たぞ!」


空気が震え、黒い影が舞い降りる。

ドラゴンが、ステージへ向かって飛んできた。


レオ……?


涙をぬぐい、空を見上げる。

ドラゴンから降り立ったレオは、仮面を外し、国民と向き合った。


「本日は、バレンシャン王国とサーラーン王国の親善公演にお越しくださり、ありがとうございます」


澄んだ声に、拍手が湧き上がる。


「そして、五日間にわたり素晴らしいパフォーマンスを届けてくれた

LUMINAのみなさんにも、大きな拍手を」


歓声が会場を包む。


「今日は――今会場にいる、そして中継で見てくださっている国民のみなさんに承認になっていただきたいことがあります。」


声高々と宣言すると、レオはわたしの瞳を捉えた。

燃えるような紫の瞳に当てられて、動けなくなる。

何が始まるの…?

心臓がドクドクと波打ち始めた。


うそ…もしかして…


目の前に来たレオはさっと片膝をついた。

わたしは驚いて口元を隠した。

心臓が飛び出してしまうんじゃないかと思ったから。


「ネネルーナ、この状況にびっくりさせてしまったな。

だが、俺の想いを聞いてほしい」


さっと右手を差し出し、わたしの手を取った。

一呼吸おくレオに、ただうなずいた。


「ネネルーナに出逢って、俺は自分の生きる道を見つけ、決めることができた。

それは、どんなときも希望の光と愛を示し続けてくれた君の存在があったからだ。

これからはバレンシャン王国の希望の存在として、そして…」


一度大きく息を吸って私を見つめるレオ。

彼の覚悟が伝わって、わたしはいつのまにかまた涙を流していた。


「俺の伴侶として傍にいてくれないか。

俺と結婚してください」


その言葉が、夜空にほどけていく。

胸がいっぱいで、息がうまくできなかった。

ここが、ステージであることも。

何万人もの視線があることも。

すべてが遠くなっていく。


浮かんだのは、

従者だと思っていたあの日のレオ。

すれ違い、離れ、命を賭け、

それでも何度もわたしを迎えに来てくれた人。


――私は、わたしの王子様を見つけるの。


あの時の自分の声が、胸の奥で重なった。

わたしは、ただ守られる存在じゃない。

この人と、同じ場所に立つと決めた。


「……はい」


震える声だったけれど、確かだった。


「わたし、レオを選びます。

王子としても、王としても。

そして――一人の人として」


拡声魔法に乗った声が、会場いっぱいに広がる。

どよめきのあと、割れるような拍手が起こった。


レオは一瞬、驚いた顔をして、

それから誰よりもやさしく笑った。


「ネネ、おいで」

その声に呼ばれて、

わたしはもうアイドルじゃなかった。

ただ、一人の女の子として、彼の胸に飛び込んだ。


いつもの香り。

いつもの腕。

だけど、もう「約束された場所」。


顔を上げて、わたしは微笑んだ。


「――待ってたよ。

わたしの王子様」


今度は、見つけた“その先”の言葉として。


こちらで本編は完結です。

最後までお読みいただきありがとうございました。


番外編はもう少し続きます。

魔法世界シリーズ③も公開します。

これまでとはまた違った作品になっているので、こちらもお楽しみくださいね!

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