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魔法世界の王女は、恋をしてはいけない人に恋をしたーアイドルを夢見るわたしですが、世の中は厳しすぎますー  作者: りなる あい
第15章 ~選ばれた未来~

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15-3. 家族の食卓、その前に

全国ツアーが終わり、わたしは久しぶりに公爵邸へ戻った。

今日はお兄様も戻ってきて、家族全員で夕食を囲めるらしい。


もう大人だけど、それでもわたしは家族が大好きだ。

この家のあたたかさに触れるたび、将来はこんな家庭を築きたいと思う。


廊下を歩いていると、背後から足音がして——


「ネネ! 元気だったか?」


振り向くと、お兄様が少し息を切らして立っていた。


「はい。お兄様は?」


「俺も、ぼちぼちだ」


ぽん、と頭を撫でられる。

“ぼちぼち”なんて、お兄様にしては珍しい言い方だ。


部屋の扉を開けた、その瞬間。

——息が止まった。

そこにいたのは、ずっと会いたかった人。


「……レオ?」


声が自然と弾んで、気づけば駆け寄っていた。


「久しぶり、元気にしてた?」


「うん。すっかり快復した。ネネも、ツアーお楽しみ様」


家族の前で抱きつくわけにはいかず、代わりに右手を両手で包み込む。

その温度に、胸の奥がじんわりと緩んだ。


「せっかくだからな」


お父様が穏やかに言う。


「二人がなかなか会えていないと聞いてね。一緒に食事でもと思ったんだ」


……お父様、神ですか?


「ありがとうございます、お父様!」


思わず声が裏返る。

お母様と目が合い、二人で小さく笑った。


家族の席に、レオがいる。

それだけで胸がいっぱいになる。

これって……家族公認、だよね?


料理の味がよくわからないほど、幸せを噛みしめていた。

——まさか、この夕食の前に、あんな話が交わされていたなんて、思いもしなかった。





(ソランティア視点)


「本日は、お時間をいただきありがとうございます」


背筋を伸ばして頭を下げるレオハルド王子を見て、胸の奥が静かに緩んだ。

あの命を懸けた契約解除の姿を思えば、こうして立っているだけで感慨深い。


「かまわんよ。快復したようで、何よりだ」


微笑み返すと、王子の表情はまだどこか硬い。

——話がある、と言っていたな。


親というのは、どうしてこうも察しがよくなるのだろう。

一瞬、頭をよぎった考えを、私はそっと追いやった。


「これまでのご支援、ありがとうございました。無事、快復しました」


父を法で裁うと決め、実行した青年。

その覚悟に敬意を抱く一方で、駒として扱われてきた息子でもあるのだと思うと、胸が痛む。


……不思議なものだ。

いつの間にか、息子を見るような目で彼を見ている自分がいる。


沈黙ののち、王子は一度、深く息を吸った。


「——わたしは、ネネルーナ公女と結婚したいと思っています」


マミーナが、はっと息をのむ。

予感はしていた。

それでも、言葉として受け取ると、胸の奥がきしんだ。


「そうか」


反対する理由はない。

だが、聞かねばならない。


「君はバレンシャンの王になる。ネネはサーラーンのアイドルだ。その点を、どう考えている?」


「彼女は、わたしにとって一生守る人です。

同時に、バレンシャンでは“希望の光”でもある」


王子の声は揺れなかった。


「だからこそ、隠しません。

国民の前で、すべてを選び、誓う国をつくるつもりです。

ネネルーナは、わたしの隣に立つ伴侶です」


その言葉が、部屋に静かに残る。


「……ネネは、幸せ者ね」


マミーナが小さく呟いた。

その表情を見て、私も覚悟を決めた。


「君はもう決めているのだな」


私はうなずき、正直な言葉を選んだ。


「ネネを任せられるのは、君しかいないと思っている」


マミーナの手を握る。


「レオハルド王子。娘を頼みます」


「はい。二人で幸せになります」


その笑顔を見て、胸の奥が温かくなった。


「今夜は家族で食事をする予定だ。一緒にどうかね。ネネも喜ぶ」


「……そのお言葉、ありがたく」


王子は深く頭を下げた。


出口へ向かう背中を見送りながら、私は思う。

——娘は、本当に良い人に出会った。


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