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魔法世界の王女は、恋をしてはいけない人に恋をしたーアイドルを夢見るわたしですが、世の中は厳しすぎますー  作者: りなる あい
第二章 ~2年生 青春祭~

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2-7. ちゃんと考えた方がいいですよ

「ネネルーナが俺のこと気にかけてくれてるのは、伝わってる」


ハオはいつになく真面目な声で言った。

——え、なにそれ。雲行きが怪しい。

まさか、説教タイム?


「でも、公女様。

誰を好きになるかって、ちゃんと考えた方がいいですよ」


急に“公女様”呼び。しかも敬語って…

なにそれ。距離、遠っ!


「ちゃんと考えてるよ?」


わたしはむっとして言い返す。

むしろ、こっちが聞きたいんだけど。

ハオは、そんなこと気にしてたの?


「じゃあ、他国のただの騎士なんて選ばない」


そう言って、彼ははっきりとわたしの方を見た。

まるで、壁をつくるみたいに。

——そうか、ハオはわたしの立場を気にしてるんだ。

でも、わたしは…そんなこと気にしないのに。


「わたしはね」


胸を張って、言う。


「わたしだけの王子様を、ちゃんと見つけたいって思ってるの」


立場じゃなくて、気持ちで選びたい。

そんな相手を、自分で見つけたい。

ハオはぽかんとしてる。

意味が理解できなかったみたい。


「……は?」


その声も、口の半開きも、ちょっと笑える。

なんかもう、そういうとこ、全部ひっくるめて気になっちゃうんだよね——って。

自分で自分の気持ちに、少しずつ気づいていく。


「そっか、ハオってば意外とまじめなんだね」


わたしはにっこり笑った。


「立場なんて、好きになるのに関係あるの?

……実はね、わたしのお母様とお父様は大恋愛をして結婚したの。

お父様は元サーラーン王国の第二王子で、お母様は平民出身。

身分の壁を乗り越えて、結ばれたんだよ。

だから、わたしも——そういう恋愛、してみたいなって思ってる」


ほんの少し照れながら言うと、ハオは「そうか…」とつぶやいた。


体育座りをしていたハオは、顔を軽く膝に埋めるようにしてこちらを見てくる。

その顔はいつもより少しだけ影があって、表情が読めない。

なにか、考えごとをしているのかな……?


「ネネルーナは素敵な両親のもとで育ったんだろうな。

だから、きっとーこんなに素直になったんだ。」


ぽつりとこぼれたハオの言葉に、胸がきゅっとなった。

ありのままのわたしを見てくれてる。

そんな気がして、とても嬉しくなった。


…今の、、褒めてくれたんだよね?


「ありがとう。嬉しい。

今度、ぜひわたしの両親に会ってね。

——あ、もしかしたら、もう会ってるかも?」


ハオが一瞬、きょとんとしたように首を傾げる。


「……?」


わたしはいたずらっぽく微笑んで、小さく続けた。


「母は、この学校の先生だから。

授業、受けてるかもね?」


ハオの肩がぴくりと揺れた。


「先生…?」


仮面の奥の表情までは読めないけれど、ほんの少しの沈黙と、わずかに漏れた驚きに、わたしはくすっと笑ってしまった。


仮面の奥までは見えないけれど——

少し遅れて返ってきた声には、柔らかな色がにじんでいた。


「……ぜひ。

お会いできるのを楽しみにしてる」


キャンドルを一緒に飛ばすことはなかったけれど——

この美しい夜景を、ハオと一緒に見られたことが嬉しくてたまらなかった。


この場所に連れてきてくれたことも、

こんな風に話してくれたことも——

全部、全部、わたしの宝物になった。

ハオのことが、ますます気になってしかたなかった。


明日から第三章です!

7時に投稿します!

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