15-2. ただいま、わたしの居場所へ
わたしは、無事にアイドル活動へ戻った。
レオのもとを離れるころには、彼はもう自分の足で立てるほど回復していた。
別れ際、ぎゅっと抱きしめる。
胸いっぱいにレオの香りを吸い込んだ瞬間、不思議と心が軽くなった。
理由はわからない。
ただ——わたしたちは大丈夫だと、確信に近い感覚があった。
LUMINAの活動停止は突然だったから、ルクスには心配をかけてしまった。
だからこそ、今は笑顔で応えたい。
ステージに戻れたことに、体の奥から歓喜が湧き上がってくる。
「ネネ、おかえり〜」
「待ってたよ〜」
「これでLUMINAが全員そろったね」
変わらず迎えてくれるメンバーに、胸が熱くなる。
「いつも支えてくれて、受け止めてくれて……ありがとう」
最初の練習で顔を見た瞬間、涙がこぼれた。
この十人でここに立てていることが、奇跡みたいに思えた。
*
「ネネ、これから三か月かけて全国ツアーに入るよ。体力勝負になるし、忙しくなる。辛くなったら、すぐ言ってね」
ユーナが肩に手を置き、目を覗き込む。
「ありがとう、ユーナ。なにかあったら、ちゃんと伝えるね」
安心したように、ユーナは微笑んだ。
「レオとは、今は簡単に会える距離じゃなくなったけど……でもね、不思議と大丈夫って思えるんだ。理由はわからないけど」
「その確信、大事だと思うよ。だいたい、そういうのは当たるから」
ウインクを残して、ユーナは練習に戻っていった。
*
ツアー前の追い込みも、始まってからも、体力が落ちた感覚はなかった。
レオのそばにいた三か月間も、練習は続けていたから。
——そういえば。
レオにもらったブレスレット。
あれはもう、壊れてしまった。
ステージ前に身につけるのが、いつの間にか当たり前になっていた。
それがなくなっただけなのに、少し心細い。
簡単に連絡できる方法はないかな……。
ふとした瞬間に、そんなことを考えてしまう。
魔道具は高価で、気軽に持てるものじゃない。
王子のレオなら可能でも、通信には対になるものが必要だ。
忙しいアイドルのわたしと、王子のレオ。
会うことは、簡単じゃない。
それでも。
あの時感じた確信だけは、まだ胸の奥で消えずに残っていた。




