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魔法世界の王女は、恋をしてはいけない人に恋をしたーアイドルを夢見るわたしですが、世の中は厳しすぎますー  作者: りなる あい
第15章 ~選ばれた未来~

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15-1. 生きている、そのぬくもり

苦しい時間は、ようやく終わった。

それでも、わたしはしばらく生きた心地がしなかった。

目の前で、大切な人の顔が青ざめていくのを見てしまったから。


魔物との契約解除で失われた血液は、38.5%。

医療班は、ほぼ致死量だと言った。

それでも——レオもハオも、生きている。


わたしは横たわるレオの頬にそっと手を添えた。

確かなぬくもり。

その温度だけで、胸の奥がほどけていく。

本当に、よかった。





レオは目を覚ましても、まだ起き上がれなかった。

いつも凛としていた体から力が抜け、覇気がない。


——あぁ。

この人も、無敵なんかじゃない。

そう思った瞬間、胸がきゅっと締めつけられた。


「ネネ、いつもそばにいてくれてありがとう」


微笑むレオの手を、わたしは両手で包む。


「ありがとうはこっちだよ。レオ、大好き」


そっと頬にキスをすると、レオは驚いたように目を見開いた。


「俺もネネが好き。……早く身体、戻らないかな。やることが山ほどある」


その言葉に、わたしは首を振る。


「何言ってるの。レオはもう、誰にもできないことをやったんだよ。

今の仕事は、ちゃんと休むこと」


少し考えてから、レオが聞いてきた。


「……ネネは、いつアイドルに戻る?」


もう二か月半。

レオの命を思えば、あっという間だった。


「本当は、回復するまでずっと一緒にいたいけど……」


「その気持ちは嬉しい。でも、俺は舞台に立つネネも好きだ。

ネネのタイミングでいい」


無理を言わない。

背中を押しすぎない。

それが、今のレオの優しさだった。


「……決めた。次の新月に復帰する。

レオも一か月経つし、あとは回復するだけだもんね」


そう言いながら、胸の奥が少しだけ痛んだ。


「離れるのは寂しいけど、俺はいつもネネの活躍を見てるから」


「うん、ありがとう」


「……そのうち、離れなくて済む方法も見つかるかもな」


「それって……結婚とか?」


試すように言うと、レオは少し間を置いて笑った。


「さあな。可能性は探してみるか」


拍子抜けするほど、いつも通りの声。

でも——それでいいと思えた。


生きている。

想いが通じている。

それだけで、今は十分だった。

わたしは、その紫の瞳から目を離せなかった。


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