14-11. 命を懸けて、君と生きる
その日のうちに、わたしはメンバーへアイドル活動の一時停止を伝えた。
レオを傍で支えたい。
——すべてを抱えてしまう彼を、一人にしておきたくなかった。
みんなは驚いた顔をしたけれど、すぐにヒヨナが言った。
「レオの命がかかっているんだもん。ネネの気持ち、わかるよ。傍にいてあげて。」
その言葉に胸が熱くなる。
「ありがとう」
小さく頷くと、その瞬間、迷いは完全に消えた。
事務所へは“決定”として連絡した。
本当は相談すべきなのかもしれない。
けれど今だけは譲れない。
——ここは、レオを守るためにわたしが選ぶべき戦場なのだ。
サーラーン王国へ帰国する飛空艇。
レオは窓の外に広がる雲を見つめたまま、微動だにしない。
丸めた肩。
背中からその弱さが痛いほど伝わるのに、瞳の奥だけは揺らがなかった。
燃えるような覚悟の光が宿っていた。
「ネネ……いつも心配ばかりかけて、ごめん。」
かすれた声。
強さと弱さが混じり合う、今のレオそのものの響きだった。
気づいたら、わたしは両腕で彼を抱きしめていた。
胸に触れた鼓動が、どこか必死に生きようとしているようで、胸が締め付けられる。
「レオ……覚悟は、本当に決まったの?」
少しの沈黙ののち、彼は静かに頷いた。
「……決めた。ネネとの未来を、俺が必ずつかむって。」
声は強くて、真っ直ぐだった。
でも、肩や指先の微かな震えが、人としての恐れや迷いを確かに語っている。
その震えすら、彼の覚悟の一部なのだと思えた。
「レオ、本当に強いね。強がりじゃなくて……覚悟した人だけが持つ強さだよ。」
「——俺、絶対に乗り越える。ネネと生きるために。」
わたしの手を強く握り返す彼の温もりが、言葉以上にすべてを伝えてくる。
涙が溢れた。
生と死の境界を意識した瞬間、目の前の幸せがこんなにも眩しく感じられるなんて。
敵として目の前に立ちはだかり、心が裂けそうになったあの日。
やっと戻ってきたのに、今度は命の危機——そんなの、もう嫌だ。
失いたくない。
離れたくない。
「……わたしも、レオと一緒に生きたい。」
空気に溶け込むように紡いだ声が、そっと二人の間に落ちる。
その一瞬が、永遠の約束みたいに感じられた。




