14-8. 絶対はない。それでも
12月21日までに書ききりたいので、今週末はたくさん投稿します。
お付き合いいただけますと幸いです。
ハオが部屋を出ていくと、私たちはそのままダンス練習に入った。
全員がそれぞれ胸の中に思うところを抱えている──それは空気でわかった。
だからこそ、いつもの振り付けを体に通して、心を落ち着けたかった。
休憩に入った時、ヒヨナがそっと隣に座ってきた。
「ネネ……さっきは、ごめんね」
「え?なんで謝るの?」
ヒヨナは指先をぎゅっと握ったまま、言葉を探していた。
「……ネネは、レオハルド王子を応援したいって気持ち、ちゃんと伝わったよ。でも、怖いって思っちゃって……。協力したいのに、すぐに『行こう』って言い切れなくて……自分がどうしたいのかわからなくなっちゃって」
その表情が、あの日の魔物の襲撃を思い出しているようで胸が痛んだ。
「ヒヨナ、話してくれてありがとう。怖いのは当たり前だよ。私だって、本当は怖いよ」
言いながら、自分の胸の奥もじんわりと痛むのを感じる。
「だけどね……レオが『力を貸してほしい』って言った時、嬉しかったの。
レオが笑う裏に、どれだけ重いものを抱えてたか……ずっと気づけなかったから。
私にもできることがあるって思えたんだ」
ヒヨナはふっと微笑んだ。
目元がほんの少し赤い。
「ネネ……なんか、もう“ただのアイドル”じゃないね」
その言葉が、不思議と誇らしく響く。
「大切な人を守ろうとしてるネネが……すごく眩しく見えるよ。
国のために光を届けようとしてる姿も。……私、ネネのそういうとこ好き」
不意に胸が熱くなる。
ヒヨナの真っ直ぐな優しさが、心に染み込んでくる。
「ありがとう、ヒヨナ……本当にありがとう」
ヒヨナは立ち上がり、私の肩をポンと叩いた。
「さ、ネネ。ちゃんとみんなで話し合おうよ。もう一回、バレンシャンの地に立つために!」
彼女が軽く笑って歩き出す。
その背中を見て、わたしも息を吸い込み、追いかけた。
──絶対はない。
でも、それでも。
私たちならきっと、バレンシャンに希望を届けられる。
その未来を信じて、もう一度一歩を踏み出した。




