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魔法世界の王女は、恋をしてはいけない人に恋をしたーアイドルを夢見るわたしですが、世の中は厳しすぎますー  作者: りなる あい
第14章 ~卒業後 アイドル3年目~

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14-6. ハオ視点:君の光が、俺の未来になる

きっとネネは俺の正体に気づいたな…

なんと思うだろう。

騙していたと思うだろうか…


でも、もうすぐなんだ。

あと少しで、父上の政権を終わらせることができる。


確かに、最初はスパイとしてサーラーン王国へ行った。

今となっては、そのおかげで俺の道を見つけ、選び、進むことができた。


一度、ネネに会いに行こう。

そして、直接、俺の正体を伝え、お願いするんだ。


どんなにかっこ悪く見えてもいい。

知ってほしい。

本当の俺の姿を。

そして、ネネの光が必要だ。

力をかしてほしいと伝えよう。


ネネたちを再び危険に晒すことなど、本当はしたくなかった。

その想いは胸が裂けるほど痛かった。

けれど——国を動かすには、どうしても“光”が必要だった。

俺は選ばなければならなかった。

国か、ネネか。

だがその二つを天秤にかける時代は終わらせたい。

だから俺は……どちらも守る選択をする。


ネネを見てしまったら、俺は自分の想いを制御できるだろうか…

自分のこの決断に負けてしまわないだろうか…





ソランティア様に、ネネに直接会うことを伝えたら、二人きりでなく、ソランティア様の前で話し合いをするなら良いということになった。


俺も、その方が自分に制御が効きやすいから、正直有難かった。

もうすぐネネが来る…

あの赤い瞳は、変わらず俺を見つめてくれるだろうか…





コンコン


ドアをたたく音がした。


ソランティア様が、なんといってこの場にネネを呼んだのか、俺はわからない。

でも、扉の向こうに立ったネネは泣いていた。

会えなかった期間、信じることが不安だったんだろう。

それでも信じつづけて張っていた糸がフワっとほどけたのかもしれない。


愛しい赤い瞳に涙がたまっている姿を見た瞬間、抱きしめたい衝動にかられた。

俺のために泣いてくれたことが、苦しくもあり嬉しくもあった。


「ハオっ!」


一直線に走ってくると、勢いよく俺に抱き着いた。

そんなことされたら、受け止めるしかない。

俺の腕の中の小さな体が震えている。

ずっとこの瞬間を願っていた。

ネネの甘い香りを吸い込む。


ソランティア様の前でネネに抱きつくのは…かなり気まずい…

でも、それより目の前の愛しい存在に俺の意識は集中してしまう。


「ネネ」


俺が名前を呼ぶと、背中に回った手によりぐっと力が入った。

強く抱きしめる姿が愛しすぎる…

こんなに近くにいて、触れられて、抱きしめてしまったら…俺は…

でも俺はそれ以上のことを言ってはいけない…

まるで二人だけの世界かのように思ったが、俺は必死に理性で現実世界に引き戻す。


「ネネ、今日は話があってきたんだ。」


俺の言葉に体をびくっと震わせた。

そして、俺の胸に顔を摺り寄せる。


「やだ、聞きたくない。もう、ハオと離れるのは嫌」


俺は目をつむって耐えた。

ヤバい…

可愛くて、俺がどうかなってしまいそうだ…

ソランティア様も俺たちから目線を外している。


「いや、ネネには離れてほしいなんて思ってない。俺の話を聞いてくれるか?」


顔をそっと俺から離し、見上げてくる。

瞳から零れ落ちる涙を俺は右手でさっとぬぐった。

少し落ち着いてから、一度ネネの両肩に触れて、体を引き離した。


「まず、伝えないといけないのは、俺の正体だ…」


俺は下を向き、呼吸を整え、声を出そうとすると


「うん。知ってる。レオハルド王子なんでしょ?」


あまりにも気楽に、軽々しく言うものだから、俺が驚いてしまった。


「…そうだよな。新聞やニュースでもう知ってるよな…」



「本当は俺の口から……伝えたかったんだけどな」


ネネは一瞬うつむいたあと、小さく微笑んだ。


「最初はね、信じられなかった。全部が嘘だったんじゃないかって、ちょっとだけ思った」


ネネは自分の胸に手を当てて、ゆっくりと笑った。


「でも……王子でも、ハオでも、私が好きになった“あなた”には変わりない。だから、大丈夫だよ」


ネネの言葉が胸に落ちた瞬間、息が詰まった。

長い間、恐れていた。

俺は正体を偽っていたという真実を知られたら、きっと嫌われると。

距離を置かれるのが怖くて、ずっと言えなかったのに——。


「……ネネ……」


名前を呼ぶ声が震えていた。

こんなにも嬉しくて、泣きたくなるのは初めてだった。

俺は思わず彼女を抱きしめていた。

強く、でも壊してしまわないように、そっと。


「ありがとう……俺を、“俺”として見てくれて」


俺の声はかすかに揺れていた。

この一言のために、ここまで来た気がした。


俺は少しずつネネに打ち明けていく。


「…そう、俺はバレンシャン王国第一王子のレオハルド・バレンシャンだ。サーラーン王国に留学生としてきたときは、王子という身分を隠してスパイ活動をしていた。」


ネネは驚く表情をみせながらも、口を挟まずに聞いてくれる。


「バレンシャンの利益になる情報をとるためだった。でも、サーラーンの人たちに触れて、ずっと前から自分の心の中にあった違和感を無視し続けることが難しくなったんだ。国王である父上は、国を支配するために恐ろしいことに手を出そうとしている。このまま父上の言いなりになって、駒として使われる人生はやめようと思ったんだ。」


もっと早くネネに心の内を伝えられていたら…

そんな気持ちもわいてきたが、直接伝えることができてよかった。


「…そうだったんだね。自分の進む方向が見えたんだね、サーラーンに来て…」


その声はとてもやさしくてあたたかかった。

すべてを包み込んでくれる安心感があった。


「…そして、ネネとLUMINAルミナに協力してほしいことがあるんだ」


俺はネネの瞳を見つめた。

ネネの赤い瞳の光がキラっと強く輝いた気がした。


「もうハオって呼べないね。レオって呼んだらいいのかな?」


俺は頷いた。

少し苦笑いをしたネネが言葉を続ける。


「わたしが……レオの力になれるの?」


まるで、嬉しいとでもいうような響きがあって、俺は驚いた。

俺の力になりたいとそんなすぐに気持ちが切り替わるものなのか…?と、つい思ってしまう。


「バレンシャン王国には、ネネの音楽が必要なんだ。」


ネネに賛成してもらえるかはわからない。

それでも、俺は覚悟を決めた。


「バレンシャン王国は長きにわたって情報操作が行われてきた。国民の不安をあおり、争いを生むことで国を発展させてきた。俺はその国政に終止符を打ちたいと思っている。」


ネネは真剣に俺の言葉に耳を傾けてくれている。

その真剣な姿が嬉しい。


「バレンシャンにこそ、ネネたちの歌が必要だと思うんだ。希望と光に満ち、人々の心を明るく照らすような…俺に、バレンシャンの未来のために、力を貸してくれないか?」


ネネは黙っていた。


「つい先日、襲撃を受けた国にまた来てパフォーマンスをほしいなんて、どう考えたっておかしいよな…でも、ネネたちの希望の光が必要なんだ。たくさんの人の目が向けられているところで、俺は国王である父の悪事を暴きたいんだ。」


ネネの真剣な眼差しが俺を貫く。

でも、怖さは感じなかった。

彼女ならわかってくれると、どこかで感じているからだろうか…


沈黙が続き、ネネが言葉を選んでいるのがわかった。

そう簡単に決められるものではないことは俺も重々承知だ。


「わたしね、ハオが本当はレオハルド王子だってわかったとき、ハオ…レオがわたしにむける笑顔の後ろで、たくさんのものを背負っていたんだって思ったの。そして、わたしは無力に感じて苦しかった。わたしも…レオの…力になることができたらって…」


俺の目をじっとみて、ニコっと笑った。

まるで、その時を待っていたかのような歓びをネネから感じた。


「わたしはレオの力になりたい。LUMINAルミナのメンバーにも話してみる。話してくれて、わたしを頼ってくれて、ありがとう…レオ。」


俺たちの状況を見守っていたソランティア様も、ネネの反応をみて少し安心したみたいだった。


「ネネ、バレンシャンでのツアーのために動いてくれたのはレオハルド王子だ。バレンシャンにネネたちの歌を届けたいと言ってな。」


優しくネネに伝えるソランティア様は、父親の顔をしていた。

優しさが瞳からにじみ出ていた。

ネネは俺だと知って、「え?」と少し固まっている。


「ネネたちは歌で民衆を動かし、レオハルド王子は国政から動かす。簡単にいかないこと、危険なことがあるかもしれないが、わたしも全力を尽くそう。」


ネネとソランティア様の言葉で俺の心にあたたかい明るいエネルギーが広がっていく。

バレンシャンの人々も、一刻も早く、この平穏を味わってもらえたら…


あとは、進むだけだ。

未来に向かって。


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