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魔法世界の王女は、恋をしてはいけない人に恋をしたーアイドルを夢見るわたしですが、世の中は厳しすぎますー  作者: りなる あい
第13章 〜最高学年 アイドル2年目〜

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13-7. 観覧車にのせた願い

わたしたちは全力でアトラクションを周り、太陽の日が沈み始めた頃、観覧車に乗ることになった。

観覧車は小さな箱に入って、その箱がゆっくりと円を描いて上へ上り、一周回っていく。

魔法も仕掛けもないのだけど、綺麗な景色をゆっくり見られるそうで、人気のアトラクションだった。

夕暮れが近づいていることもあるのかもしれない。


もうペアは一通り全員と組んだので、今は何となく一緒になりたい人と組む形になっていた。

わたしはみんなの気になる人がさり気なく一緒になるようにしたり、いい感じの二人をアシストしたりと、みんなの観察に余念がなかった。

観覧車では、イルサはキーンさんと一緒に乗るものだと思っていた。

でも、なぜか浮かない顔をしてる。


「イルサ、どうしたの?何かあった…?」


「キーンさんって、ネネのことが気になるのかな…」


わたしはビックリした。

何でそんなことを思ったんだろう…


「そんなことないと思うけど…何で急にそう思ったの?」


「さっきメリーゴーランドの待ち時間の時、お互いに笑い合ってていい感じに見えちゃって…」


どうしよう!誤解してる…!

すると後ろからお兄様が声をかけてくれた。


「二人とも、観覧者に乗るペアは決まった?」


優しく声をかけてくれるお兄様に、二人で首を振って応える。

わたしがイルサの状況を勝手に説明するのも…と思っていると


「まだ決まってないなら、ちょうどよかった。キーンがさ、笑顔が素敵な子と一緒に観覧車に乗りたいみたいでさ」


お兄様がわたしにウインクを送ってくる。

すると、キーンさんが少し照れながらイルサに話しかけているのが横目に見えた。


「イルサ、せっかくだから一緒に観覧車乗らないか?」


「わたしでいいのですか…?」


「うん。君と乗りたい。いこう?」


キーンさんがイルサの手を取って観覧車へ向かう。

手を繋いでるー!と他のメンバーは声に出さずに興奮して2人を見守っている。

こういうのが一番楽しいよね!

みんなでニヤニヤしていると、


「アドリアン様、ご一緒していいですか?」


声をかけたのはシルビアだった。

お兄様がアイドル事務所に来ると、いつも騒いで、にぎやかにしてるメンバーだった。


「もちろん、いいよ。」


お兄様は私の肩にポンポンと手を置くと、シルビアと行ってしまった。

わたしはみんなのサポーター役というポジションでいたから、みんなの様子をみていた。

また1ペア、1ペアと決まっていく。

最後に残ったのはわたしとアレキ先輩だった。


「残っちゃいましたね。」


「うん。俺たちも行こうか」


2人で目を見合わせて笑う。

観覧車に向かい合って乗り、ゆっくりと上っていく。

ふわっと香る爽やかな香りを感じながら、一息つく。


ふと遠くを見ると、アレキ先輩も遠くを見ていた。

何も話さなくても、気まずくない。

この空気感が心地いいと感じた。


みんなの背中をそっと押すばかりで、自分の気持ちに向き合う余裕なんてなかった。

でも観覧車の中、アレキ先輩の沈黙が、わたしの心をじんわり溶かしていった。


もし、わたしがハオと出会っていなかったら、この人と恋をしていたのかな…?


ふと私の中に浮かんだ。

ハオに会いたいな…

この景色を一緒に見れたらいいのにな…


「今、ハオのこと考えてるでしょ?」


「…え?なんでわかったんですか…?」


わたしは恥ずかしくなった。


「ネネが優しい顔をしていたから、きっと彼を思ってるんだろうなって」


夕焼けに照らされ、アレキ先輩の赤毛の髪がオレンジ色に輝く。

その横顔をみて、


「先輩っていい男ですよね」


ポロっと出た言葉だった。


「…え?」


急な言葉にアレキ先輩も戸惑っている。

わたしも心の声が出ちゃったから、焦ってしまう。

でも、わたしが心の中で思ったことに変わりはないから。


「包容力があって、優しくて、強くて、カッコよくて…いつも助けてくれるので…」


「はは、ありがとう。…俺じゃネネの隣は似合わないって、ちゃんとわかってるつもりだから」


苦笑いを浮かべるアレキ先輩。


「ネネはほんと無防備だよね。そんなこと言ったら、みんな期待しちゃうと思うよ」


「ごめんなさい。そんなつもりで言ったんじゃないんです」


「わかってるよ。ネネに想いを寄せられているハオは幸せ者だね。」


「本人がそう思ってくれてたら、嬉しいんですけどね…」


会いたいな…

でも今ここにはいない。

いつもだったら、隣でわたしを笑わせてくれるのに。


観覧車は回り続ける。

それぞれの想いを乗せて…




観覧車を降りたあと、最後のペアだったわたしたちにみんなが駆け寄る。


「観覧車どうだった?今日の遊園地、忘れられないよ!」


イルサがわたしの横にやってきて、


「ネネのおかげで、勇気出たの」


と小さくつぶやいた。わたしは


「後で詳しくお願いね」


とウインクしたら、イルサは照れていた。

報告が楽しみだな。


みんなの表情や雰囲気から、観覧車で良い時間を過ごせたことが伝わってきた。

心の中では、みんなの恋を応援しながらも、ただひとりを想っている。

そして夕焼けの空に、そっと願いを込める。

ハオに…この想い、届きますように…



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