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魔法世界の王女は、恋をしてはいけない人に恋をしたーアイドルを夢見るわたしですが、世の中は厳しすぎますー  作者: りなる あい
第13章 〜最高学年 アイドル2年目〜

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13-5. 恋が加速する遊園地へ

アイドルたちは宿舎暮らしなので、集合場所は事務所前になった。

わたしたちもORBITALも、マネージャーから外出の許可をもらえた。


「本当にOK出たんだ…!」


アイドルなのに、遊園地に行けるなんて夢みたい。

変装は必須だけど、そんなの全然いい。


ORBITALは恋愛禁止期間が終わっているけれど、わたしたちはあと一年残っている。

そこはきっちりと念押しされた。


わたしはピンクの髪に、水色の瞳に変装した。

いつもの自分とはまるで別人で、なんだか気分が上がる。


事務所前には、変装なしの騎士団メンバーたちが聖獣に乗って集まっていた。

制服ではなく、みんなラフな私服姿だ。

お兄様が連れてきた騎士団メンバーは、誰もがフレンドリーで、感じの良い方たちだった。


「おはようございます。さぁ、行きましょうか」


それぞれが聖獣に跨がり、空へと舞い上がっていく。

少しひんやりした風が頬に当たり、まるで金色の絨毯のうえを飛んでいるみたいだった。

ゆっくりと紅秋が街を包んでいくのが、空からよく見えた。


先頭を飛ぶのは、お兄様。

その背中を見つめながら、わたしはふと思う。

お兄様が今、何を考えているのか

――正直、よくわからない。


かつては婚約者候補もいたけれど、結局その話は立ち消えになった。

相手の令嬢が、お兄様がアイドル事務所に出入りしていることに嫉妬したのが原因だったらしい。

かわいい子ばかりの事務所で、どんな出会いがあるかわからないから、とのこと。

でも、お兄様はその縁談がなくなっても、まるで気にする様子もなかった。


「ネネが結婚してからじゃないと、俺は安心して結婚できないからな」


そんなことを、さらっと言ってのける。

耳を疑いたくなるような過保護発言だけど、ここまで来たらもう諦めるしかない。


でも――もしかして、お兄様も、なにか出会いを探しているのかも?

グループの誰かとそういう関係になるなんて想像もしなかったけど、いつ、どこで、誰と恋に落ちるかわからない。

もしそうなったら…応援しよう、と心に決めた。


そう考えているうちに、遊園地に到着した。

賑やかなアトラクションが立ち並び、あちこちからお客さんの興奮した歓声が聞こえてくる。

目を輝かせながら、わたしたちは最初のアトラクションへと向かった。


男女ペアで順番待ちをし、アトラクションごとにペアを変えることになっているので、いろんな人と話せそう。

最初の相手は、ユリウス先輩。

すぐ後ろにユーリがいたので、ペアを越えて4人での会話が始まった。


「今日、すっごく楽しみにしてて、夜なかなか寝れなかったよ〜!」


とユーリが笑いながら言う。


「ははは。ユーリは昔から、楽しいことの前日は寝つけないタイプだよな」


ユリウス先輩も笑って応じる。

二人はいつも通りの軽やかなやり取りをしていた。


「ユーリって、昔はどんな女の子だったんですか?」


ユリウス先輩ならいろいろ知ってるかも、と思って聞いてみると――


「泣き虫で、いつも俺の袖を引っ張って、あとにくっついてたよな」


茶化すように言いながらも、ユリウス先輩の瞳には、優しさがにじんでいた。


「家が近かったから、いつも一緒に遊んでたよね。ほんと懐かしいな〜」


そう言ってユリウス先輩を見上げるユーリの瞳は、まるで星みたいにキラキラしていた。

好きな人を見つめると、あんな顔になるんだなぁ、となんだかほほえましかった。


最初のアトラクションは、猛スピードで急降下しながら回転するスリル系。

魔法の力は一切使われていないのに、これほどの迫力とは…

人気の理由がわかる気がする。


乗り終えて降りるとき、ユーリがふらついた。


――あっ。


と思った瞬間、彼女の体を支えたのはユリウス先輩だった。


ユーリは「ありがとう」と小さな声でつぶやいたが、その頬はほんのりピンク色に染まっていた。


しっかり者で姉御肌なユーリが、こんなふうに可愛らしい顔を見せるのは

――きっと、ユリウス先輩の前だけなんだろうな。

二人の関係が、まぶしくて、でもちょっとだけ、羨ましかった。


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