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18.変調

 人類の最大の敵とはなにか。それは自然である。目の前の森も私の目下の敵だった。


 この領土惑星の詳しい地図やその大きさなどは伏せられている。それを調べるのも持ち主の楽しみの一つで、必要な大気の成分、水や害獣などの最小限のデータのみを携えてアナは入植したそうだ。


 前の持ち主が訳アリで手放したため、自らが執行官となって財産の接収を行い、この惑星が自分に配当されるとわかると、いくらかは支弁して買い戻した。


 特に乾燥した木材など、合成できない天然素材に市場価格と差し押さえ評価額に差が大きかったため、すべて買い戻し、趣味の悪い建物や調度品などを好事家相手に官製オークションを開催するなどして、今の形に留めているのだとか。


 こうすることで何とか被害者女性への賠償金を全額捻出させることができ、その手際の良さも相まって、法務局からの評価も上がったのだとか。まさに能吏。


 その良質な木材を、ロボット大工を動員して建築した巨大ログハウスは見事の一言だった。


 カナディアンシーダーハウスというのか、屋根と壁が一体の連続形状になっていて、アーチ型の形状は船を逆さにしたようで、降雪地かつ寒冷地であることを示している。


 シャトルから降りる際、アナに「履物を取り換えてください」と差し出された半長靴に皆履き替えた。


 エリは仕事先で歌っているのだろう「おにゅーのゴム長」の歌を口遊み、アナもそれに倣って歌った。私は手塚治虫の雨ふり小僧の「ながぐつほしかー」しか出てこなかった。小学校で観劇して感激したのだ。


 少し肌寒さを感じながら、滑走路のコンクリートを恐る恐る歩き、次第に近づいてくるログハウスを見上げた。


「おもしろい家ね――でも」


 森に近すぎないかしら、と歩いてきた滑走路の向こうを見ながらエリがいうので、私は首肯せざるを得なかった。


 アナはその様子に少しショックを受けたようだった。取り急ぎ滑走路のそばに家を建てよう、という発想は理解できる。


「森が見えると良いかと思いまして」


「己が森を見渡すとき、森もまた己を見渡している――野生動物の調査はまだよね?」


 エリの言葉に「大型の肉食獣は居ないはずですが」と返すアナに、獣以外は、とすぐに問いかけるあたり、エリにはひっかけ問題というものは通用しないらしい。


「へび、くも、その他毒性のある生物。寄生虫をもつ陸貝類と枚挙に暇はないわね」


 私がもつサバイバルの知識では、森からは必ず川、谷などを挟み、十分な距離をもって盛土をしてから避難小屋を建てるべき、とある。


 前者は動物、後者は虫への対抗手段だ。


「でも、滑走路を挟んでいるし、この建物は管制施設として絶対必要だし、良いと思うよ」


「そうですか! 西暦生まれの方がおっしゃるならば信用できますね」


 アナの顔が明るくなる。


 建物は立派だし気密性も高そうだ。


 こうも褒める前にダメ出しは人間関係を悪くしかねない。それに、三階建てのカナディアンシーダーハウスというのも珍しい。日本の狭隘な住宅とも、サテライトの画一的で豆腐建築なものとは作りが根本から違う。曲線と直線、そして自然への調和、すべてが見事だった。


 とりあえずロボットの守衛を森の方向へ走らせてもらい、安全確保だ。安全は何事にも代え難い。


 家の近くにある焚火台で早速キャンプファイアーを焚き、煙と熱で虫を掃う。エリの贈り物の斧が早速役に立った。


「えい! とー! はぁ!」


 その贈り物の斧を贈り主が振るう。


 大自然スペクタクルはちょっとお預け。


 百人隊長は務まりそうなエリに薪を任せて、私はアナと湿った針葉樹の枝を鉈で落として焚火台に放り込む。煙を出すのだ。


 燃えた灰は掻きだして、陸貝対策に家をぐるっと囲むように散布する。


「屋内の防虫には心を砕いたのですが、片手落ちでした」


「失敗も楽しもうよ。家は三度建ててやっと満足って言うし」


「そうですね」


 ロボット大工のレンタル期間は十分残っているというので、私がおすすめする土地に探索してそこに建てることになった。


 新居祝いのつもりが、新居の棟上げ祝いになりそうだな、と予感した。


 


 当座の急ぎの仕事を終わらせて、ヘリコのカメラで周辺を偵察することにした。


 この惑星のことを詳しく知りたいし、周辺の探索は急務だった。


 エリとアナはスモア作りにお熱だ。シャトルに搭載されていたおやつ類をごっそり持ち出したらしい。


「スモア!」


「スモア!」


 焼いた特大マシュマロの表面を、チョコレートと共にグラハムクラッカーに挟んだアメリカンなキャンプおやつだ。一つ食べてワンスモア、も一つ頂戴ワンスモア。略してスモアだ。デナリウス。


 薪割に従事しながらのエリとは違って、現行、特に何もしていないアナが腕白相撲アンにならないか心配だが、とりあえずカメラと接続されたモニターを観ることにする。


 


 この家から東側にある滑走路、さらにその東側に近傍の森はある。


 最初、原生林かと思ったが、どうやら里山化しているようだ。針葉樹と広葉樹が混在している。前の持ち主はそんな感性を持っていないだろうから、その前のオーナー、渡辺氏が手入れしたのだろう。


 ただ、下草刈りや間伐が長いこと放置されているのか、林立した針葉樹は息苦しそうで、それに囲まれた広葉樹は、高齢化と日照不足で弱っているようだった。


 厄介な陸生動物は少ないが、小型の哺乳類は散見される。食物連鎖の頂点はなんだろうか、と探して、それが猛禽類とキツネの類だと推測をつけた。


 猛禽類は見慣れないヘリコを警戒して、そのさらに上空を旋回し、キツネも地上からヘリコの影を追いかけている。


 かなり知能が高いことから、これ以上の上位動物はいないだろうと結論付けた。要するにこの二種が長生きだから賢いのだ。


 その豊かな森からさらに東に川がある。


 比較的まっすぐで、流速もある。


 岸は丸みの頭大の石がごろごろしていて、魚が泳いでいるのがわかった。


 もし曲がりくねっていたら、この距離でも家の位置は危険だったろう。これは、もしかすると渡辺氏の功績かもしれなかった。


 そのさらに東は鬱蒼とした原生林。ヘリコでは中が窺えず帰投させることにした。


 


 ヘリコのバッテリーを入れ替えて今度は西側へ飛ばした。上空を旋回するトンビだろうか、さっきから下方の私たちを狙っている様子だった。


 エリとアナはバーベキューの支度だ。


 どちらがピットマスターを務めるかじゃんけんしているところだった。


「勝ちました」


 アナが勝ち、ピットマスターの権利を手に入れ、エリはグリルマスターになった。どっちでも良かったのではないだろうか。


「東側は川までは安全だよ」


「やったわね。キャンプできるわ」


 エリはガッツポーズ。この星の持ち主より楽しみにしてそうだった。


「今の内にロボットに下草を刈って、ある程度、地面を乾かしてもらっておこう。灰もあとで撒こうかな」


 アナが「わかりました」と端末を操作すると、偵察に向かったロボットが戻ってきて、大きな鎌を担いで再び出て行った。


 


 西側には膝上丈の見慣れた草が生えていた。おそらくライ麦一種だろう。燕麦の群生地もある。


 この二種は、人類史の中でも重要な作物ではあるが、もとはただの雑草だった。


 馬や牛、羊、山羊といった草食動物が好んで食べていることに気付き、それを人が食べられることにも気付くと、それを保護するため周囲の草花をより分けて除去するようになり、そのため生物毒が減少し、かつ、穂が大きく育つようになったという経緯があるのだ。


 命のパンとはまさしく、この二種で作られた無発酵パンをいうのだが、パンというよりは、さっきまで女性陣がスモアしていたグラハムクラッカーが近いだろう。


 ここに穀類が自生するということは、とさらに西側を探索すると、予想通り川があった。


 東側のそれより曲がりくねり、これが天然の灌漑として機能しているのだろう。


 周辺も黒っぽい土で、ウクライナの耕作地のそれと非常に似通っている。この星は本当に豊かなのかもしれない。


 川を越えたところも穀類の群生地だ。この辺りで農業でもしたら、結構よい儲けになるのではないだろうか。


 ふと空を見上げ、トンビが低く飛んでいることに気付いた。もしや、と風の方向を確認すると、先ほどとは逆に吹いているようだった。


 これは、一雨くるかもしれない。そう思って、ヘリコを撤収させ、ピットマスターとグリルマスターに、食べるのは屋内にしようと提案した。


 よく考えたら、まだ新居を見せてほらっていないのだ。


 


 建物に入ると中央に立派な柱があって、そこに梁が渡されている。階段で行ける二階と、そこから梯子で昇る三階で役割が分かれているようだった。


 中央に、おそらくアナの手作りだろう、ちょっぴり不器用な出来のテーブルと、一生懸命転がしてきたのか丸太を切断面で横に転がした椅子があった。ちょっとガタゴトする。


「広いわねー」


 無垢床を裸足で踏みしめて、エリは大広間の隅々を見回っている。床はプロの仕事らしく、ささくれなどは気にしなくてよいようだった。半長靴は家の入口にある下駄箱に収納されている。


「すみません、家内に厨がございませんで」


「グリルとピットなら天幕でなんとかなるから、調理を外でして、中で食べよう」


 雨の中で野外炊爨と聞きつけて、エリがテンションを上げた。雨そのものが嬉しいのだろう。サテライトでは絶対にあり得ないからだ。


 エリとアナはガタゴトする椅子に腰掛けながら、傾いたテーブルで肉と野菜に串を打つ作業に入った。


 


「それじゃあ天幕を張ってくる。そういえばだけど――」


 そのお肉ってどこのお肉なの、全部牛肉だよね、と尋ねるとアナが「前の住人がこの手の仕事が得意だったようで、保存庫に山になっていました」と述べた。


「防疫の関係で売ることができなかったので、全て引き受けたのです。美味ですよ」


 もしかして機内食のビーフは領土惑星産だったのか。


「才能の使い方を間違えたんだ。可哀そうな男だなぁ」


「精肉はすべてロボの仕事ですからね」


 プリオン感染を防ぐために、食肉処理場は国民の立ち入りを固く禁じている。ヤコブ病蔓延の愚は犯せない。


 ホルモン類まで完全に処理されている。これは完全に人の手の仕事だ。もしかして養牛でもしていたのだろうか。


「生きた牛はかなり離れたところにオートメーション工場がありました。まだ稼働中です」


「本当に農業に向いてる星なんだ」


「どうやらそのようです」


 この世に値段の上限のないものの一つに食品があるが、近傍のサテライト・ミューズが食料生産能力が小さいこともあって、これは良い商売になるだろう。


「無尽会社でも設立しようかと。そのことをお二人にもご相談したくて」


 開拓するにも費用がかかりますから、とアナがいうと、流石にシャトルのレンタル業だけでは限度があるだろうと思った。


 エリは手をまっすぐに上にあげて「賛成!」と意見を表明した。美味しいものを流通させるのが悪いわけがない、とそう言うのだ。


「私も賛成だよ。これは奉公の一環だと思うし、活用すべきだよ」


 無尽会社の設立には国民の協力が必要だ。エリートである彼女には、その権利が無いからだ。


「ありがとうございます」


 頭を下げるアナに「配当はお肉でお願いね」と早速、物言う株主様が現れた。エリは腰に手を立てて「赤身がいいわ」と付け加えた。




 どうやら出発前の諸々は杞憂だったようだ、と天幕を張り終えたところで空が泣き出した。案ずるより産むがやすし、ということだろうか。シャトルでのキスは事故だと思っておこう。いや、役得かな。なんの役であるかは謎のままだ。


 しとしと、と落ちてくる雨粒は、あまりにも透き通って綺麗だった。暫く眺める。これならエリが天に向かって口を開いても、お腹を壊したりはしないだろう。


「――これが雨ね!」


 早速やってきた。半長靴を履いて、空に向かって顔を上げ、きれいな喉を覗かせている。


「味はないわ」


「水だもん」


 懲りずにもう一度やって「うん、水だったわ。勉強になった」と私と一緒に家に戻った。


 


 太陽が傾いて(実際はこの惑星が移動している)良い時間になった。ケロシンランタンを取り出して、マントルを炭化させ、火を灯すと柔らかな橙色の光が広がった。


「――、なるほど」


「もう一回やろうか?」


 アナが首をかしげている。マントルの炭化はちょっと難しいかもしれない。


「原理は分かったのですが……」


 すぐには扱えそうにない、と項垂れた。こんなときロボットなら情報共有で簡単なのにね、とエリが言う。


「でも、優しくていい光です」


「なんていうか温かいのよね」


 LEDやナノマシンの光に慣れると、いろいろな成分を含んだ火の光は、それこそ女性の色彩感覚からは蠱惑的に感じるかもしれない。


「顔を近づけすぎると、表面が焼けちゃうよ。遠赤外線が出てるからね」


 そういうと、顔を近づけていた二人がぱっと離れた。


「――それでなんだけどね」


 エリがくるりと、首だけ廻して言う。


「あたしたち、お肉の焼き加減とかまったくわからないから、ピットマスターとグリルマスター、お願いしていい?」


 ああ、やっぱり。


「お塩と香辛料で味付けは出来ました」


 自家製の経木の薄付に並べられたそれを、ずい、と私の前に出してアナがいった。


「こういうところでは、お肉を調理して取り分けるのは家長の役目らしいわ」


 エリの言葉に正直苦い顔をしたと思う。古い封建制というか、父権主義的だよね、それ。


「そうですね。支配するのも愛の内というらしいですね」


 どうしてそう飛躍するのか。


 やはり皇帝種は人類に禍根を遺してしまったようだ。支配というのは本来的に不潔なものなのだから、こうして求めることはあってはならない。人権を乗っ取られるのと殆ど等しいではないか。


「どうしてって、それは――」


 アナがエリに目配せした。


「どうしてかしらね」


 腕を組んでボリュウムのある胸を持ち上げた。エリのお得意のポーズだった。


「言うなれば、西暦時代の女という生き物を感じてみたいのかしら。内心反発しながらも、最後は男に頼り、それで良いかと思って、自分を納得させて、それを社会はよく出来たと褒める――みたいな」


 エリの言葉にアナが続ける。


「知らぬものが知るものに縋るというのは、いままでなかった状況と感覚です。そして、ネットから情報をロードできないことを、ちっともストレスと感じていない自分に驚いています。どうしてなのか――わかりません」


 性的役割論の話になっているようだ。


 彼女たちは自然に囲まれて、ついに私という自然の男という生物が存在する環境にも順応しようとしているのかもしれない。


「よく考えたら暢気にスモアしてたのっておかしいわ。あなたが忙しそうにしていたのに、あたしはずっとアナとおしゃべりしてて、それが当然だと思い込んでた」


「私もです」


 自分の星のことだというのに、とアナは首を捻った。


「そのことは良いよ。こういう環境なら、私が一番詳しいのは当然だし」


 私が言うと、エリが「その当然を当然に受け入れてるのが――あぁわからない」と頭を振った。


「とりあえずお肉を焼いちゃおうよ。ピットの方は時間がかかるから、明日食べる分にしよう。柔らかく出来たら、良いサンドイッチの材料になるから」


 筋の多い部分は十時間以上をかけて低温で調理する。それがピットが男の領分とされる所以だ。そればっかりに一生懸命になれるなら、女より男の方が得意だろう。


「ライ麦のお粥も煮るよ。お肉ばかりだとお腹がおかしくなるから」


 グリルで薪の表面が灰を吹きはじめて、木の部分がなくなったので、串に刺さった肉野菜を並べる。たっぷり熱を吸ったグリルが、それらを焼き上げてくれるだろう。


 ライ麦は脱穀してあったので鉄鍋でじっくり炒る。炒らないで煮ると青臭く食べにくいのだ。北欧流だった。


 ドライフルーツでもあれば格好がつくが、今回は諦めた。


「薪のまま焼かないのはなんで? 炎が大きいほうが焼きやすいでしょ?」


 エリが小さめの顔を左右にころころしながら尋ねてきたので「それだと薪の匂いがついて台無しだよ」と伝えた。実際、この手の失敗談は実習でもあった。


「匂いのつきやすい芋類は、濡れた紙で包んで、熱々に焼いた石に囲んで火を通すんだ。水分が芋を乾燥から守って、紙が匂いを遮断してくれるんだ」


「へぇ」


 じゃがいもの石焼きも美味しいが、にんじんの石焼きも実は絶品なのだ。あれほど甘くなるとは誰も思わないだろう。


 炒り上がったライ麦を火からおろして、一旦冷ます。


 熱いまま水を入れると生煮えになりやすいのだ。必ず低温から煮立たせ、できれば重量の10%ほどの氷を入れると良い。


 牛乳などを入れるときは水で割って、最後に入れる。


「よく、ご存じですね」


 アナが冷めつつあるライ麦を、無意味にかき回しながら言う。お母さんのお手伝いをしたいけど、役に立つ仕事は振られなかった、という感じだ。


「小学校までは家庭科もあったから」


「かてい、か」


 知識をロードしようとしたのか、中空を眺めてしばし硬直する。


「――かていか、とは何をするのでしょうか?」


 硬直を解いて、こちらに向き直る。学問の一部だとは理解しているようだった。


「料理、洗濯、裁縫を一通り。特に栄養学の指導に熱心な国だったから」


「男性も、みな?」


「私の時代はそうだね。その三十年前までは女性のみの科目だったよ」


 男女平等政策と未婚率の上昇で、男子にも家庭科教育を施してよかった、とする声も多かった。一方で、義務教育が家庭のことまで世話するのは内政干渉だ、と反対する声もあった。串をひっくり返す。


「なぜ、そんな先見性のある教育の出来る国が、あなたを宇宙になんて……」


 あ、と口を押さえて「失言でした」と俯いてしまった。シャトルでの私の失態を思い出したのだろう。


「何であれ志願だから。世界が安定してからすぐに救助してくれなかったのは、実は結構恨んでるけど」


 あの時なぜキスをしたのか、と尋ねてもよかったが、エリに聞かれるとこじれそうだったから黙っておくことにした。正直、直後の夢のインパクトが強すぎて、気にする余裕がないのだ。


「おかげで出会えましたから、私にとっては僥倖なのでしょうね」


「そこまで言われると、毒気が抜かれてしまうな」


 なんだか、自分のアナに対する態度が尊大になっている気がしてならない。そのうち噛みついてしまいそうだ。


 彼女の姿が女子高生そのものなのも影響しているのかもしれなかった。見た目と立場の逆転は人を狂わせるというが、そういうことか。


 


 なんだろう、この惑星に来てから自分があやふやな感じがしている。


 あの夢のせいか、それとも――

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