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彼女が祟りに堕ちた日から、俺は祓師になった  作者: なぽりまん
人生の終わりと祓師のはじまり
13/21

彼女に似た女の子

 

「はいは〜い! トワちゃん帰還だよ〜!」


 ひときわ明るい声が部屋に響くと、入口の扉が大きな音を立てて開く。


 すると、袋を両手に抱えた制服姿の女の子がスキップで中へと入ってきた。


 着崩した制服にヘッドホン──いかにも今どきの女子高生といった姿。ぶんぶんと振り回されているせいで、袋は今にもはち切れそうである。



 その後ろから、やや困ったような顔の白髪の少女が小さくため息をつきながら続く。


 白髪の少女が無言のまま、首元についている機械のボタンを押したかと思うと、機械的な声が部屋に響いた。



 《……トワ、もう少し静かに。ミヒロくん寝てたかもしれないのに》


「え、マジ? ごめ〜ん! でももう起きてるっぽくない? てか、泣いてる? どしたのヒロくん」


 制服姿の少女がミヒロくんの顔を覗き込むと、ミヒロくんは涙目のまま顔を向ける。



「……うるさくて起きた。お前らも大概だけどな」


「わ〜、すっごい刺々しい! いや~今日もヒロくん、絶好調だね〜?」


 白髪の少女はそんな二人のやり取りに頭を抱えつつ、ソファにそっと腰を下ろした。



「あ!君が噂のコータローくん?」


「…ぅえ!?一応、折笠 晃太郎、デス」


「ヨロシク〜!なんか、色々すごい体質らしいじゃん?きょやたんから聞いた!」


「きょ、きょやたん……?」


「おい水無瀬、その奇天烈な名前で俺を呼ぶなと言ってるだろ」



 いつもクールな旬祢くんが、こんなにも可愛らしいあだ名で呼ばれているギャップに、思わず吹き出しそうになる。


 ──が、それよりも気になることがあった。



「あの、さっきの機械音みたいなのって……?」


 俺が首をかしげると、制服姿の少女はパッとこちらを振り返る。



「これはね、りんりんの音声デバイス! りんりんは声が出せない代わりにこれで話してる!」


 すると、“りんりん”と呼ばれる白髪の少女が機械のボタンをもう一度押した。



 《……はじめまして。天使あまつか 凛世りんぜです。よろしくお願いします》


 機械的ながらも、どこか落ち着いた声音が部屋に響いた。



「んで、あたしは水無瀬 トワ(みなせ とわ)!もう耳は聞こえないから……このヘッドホンで、みんなの声を“振動”で聞いてるんだ〜!」


 にかっ、と快活に笑う水無瀬さんの隣で、白髪の少女──天使さんはまた、無言で首元のボタンを押した。



 《……それぞれ、事情があります。でも、わたしたちは、ここで、生きてます》


 機械を通した淡々とした声なのに、不思議と心に引っかかるものがあった。


 どこか、懐かしい。

 俺は思わず天使さんの姿に魅入ってしまった。


 綺麗な白い髪。物静かな佇まい。

 どこか達観したようでいて、優しさと強さを奥底に隠しているような瞳。



 ──ああ、似ているんだ。彼女に。

 自分が守れなかった、愛しい人に。



「……っ」


 胸の奥が、じわり、と痛んだ。

 でも今、目の前にいるのは皐月じゃない。


 勝手に思い出して、勝手に苦しくなってるだけなんだから。いつも通りに振る舞わないと。


「……よろしくお願いします!天使さん、水無瀬さん」


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