第9話 雪の月花を貰って来ました
タタンと、時の赤ちゃんアマガエルたち、そして雪女は、ラータが無事に戻って来るのを今か今かと待っていた。
ラータが戻って来た時、時の赤ちゃんアマガエルたちは大喜びして、ぴょんぴょんぴょんぴょん飛び跳ねた。
ラータは雪の上で、ぱっと赤毛の美少女に化けた。
時の赤ちゃんアマガエルたちは、ラータの足元へ一目散に並ぶと、嬉しそうにゲコゲコ鳴いた。
まるで蛙の合唱だ。
タタンは、かつてないほど気を揉んだので、ここは甘やかせず説教の一つもすべきだと思って口を開いたが、ラータが、にこにこ顔で雪の月花を持ち上げたので怒る気も失せてしまった。
「見て下さい!貰って来ました!」
「……まったく、君って子は……」
肩をすくめたタタンの後ろで、雪女が歓喜の声を上げた。
「まあっ!!本当に摘んで来てくれたのね。これで雪のプリンが作れるわ。ありがとう!!」
雪女が進み出て受け取ると、ラータは満面の笑みで教えた。
「炎ネズミさんが、友達になってもいいって言ってくれたんです。ちゃんと謝ったら許してくれるって」
これを聞いて、ますます雪女は喜んだ。
「まあ!何て親切な方でしょう!散々攻撃したのに、許して友達になってくれるだなんて。本当に、何て優しい方でしょう!」
雪の月花を手に持って、花畑に目を遣った。
「炎ネズミは、友達になるって言ったの?君の早とちりじゃなくて、本当に?」
タタンが怪訝な顔で、ラータに耳打ちすると、ラータは自信満々に断言した。
「はい!本当です!」
目を輝かせるラータを見て、タタンは何も言わず苦笑した。
そして、時の赤ちゃんアマガエルたちに目配せした。
沈黙の会話が、一瞬のうちに交わされた。
「早合点みたいだよ」
「ゲコゲコゲコッ」
タタンの予想は概ね合っていた。
炎ネズミが言ったのは、「ふん、友達になるとは、まだ言ってないけどね」だったが、ラータの頭の中では、謝ったら友達になってくれるという解釈で事が運んでいた。
タタンは溜息を吐いたが、雪女と一緒に喜び合うラータを見て何も言えなかった。
(僕は、つくづく甘いな……)
時の赤ちゃんアマガエルたちは、気の毒そうにタタンを見上げて、ゲコッと鳴いた。
「早速、雪のプリンを作りましょう。急いで作らなければ間に合わないわ」
ラータは、雪小屋へ急ぐ雪女を追い掛けて言った。
「私にも手伝わせて下さい」
ラータの申し出に雪女は驚いたが、すぐににこりとして言った。
「ありがとう、助かるわ」
タタンと時の赤ちゃんアマガエルたちも、ラータに続いた。
「僕たちも手伝います。ラータが怪我をしたら大変ですから。何しろ、予想外の行動をとりますからね」
タタンは、すっかりラータの保護者になっていた。
雪女は、くすりと笑って頷いた。
「それじゃあ、皆で作りましょう」




