はじめまして、サンタさん。私、化け猫です
4・根古多村に来て下さい
目が覚めたラータは、ぽけ~っとした頭で、一生懸命考えた。
(ここは、どこかしら?)
時計台から滑り落ちたのは覚えている。
肩の上に、時の赤ちゃんアマガエルたちを乗せたまま落下したのだ。
あの時、七色の光が見えた。
(アマガエルくんたち、過去の力を使ってくれたのね!)
安心したら急に眠くなって、今は、なぜかベッドの上に寝ている。
アマガエルくんたちと、はぐれてしまったようだ。
ゆっくりと体を起こして、はっと気が付いた。
「あっ、化け猫に戻ってる!大変!!」
大急ぎで赤毛の美少女に戻ろうとしたが、一足遅かった。
丸太小屋のドアが開いて、入って来たのは、人のよさそうな顔をしたおじいさんだった。
「起きたかね」
穏やかな声で優しく尋ねられて、ラータは、思わず声を上げた。
「サンタクロース!!」
表紙の絵と、全く同じだった。
真っ白なひげは、胸元まで伸びて、真っ赤な服を着ていた。
そして、ふちの白い真っ赤な帽子をかぶっていた。
「ほっほっほっ、わしを知っとるのかね、お嬢さん」
ラータは目を見張った。
「本当にサンタクロースなんですね?」
「そうじゃよ。わしに何か用かね」
ラータは、ぴょんぴょん跳んで、全身で喜びたい気分だった。
だって、サンタクロースを見つけたのだ。
捕まえて、根古多村に連れて帰らなくては!
何か捕まえる紐がないか、きょろきょろ辺りを見回すと、柔らかな笑い声が、丸太小屋に響いた。
「ほっほっほっ、わしを捕まえるかね、お嬢さん」
ぎくっとして入り口を見遣ると、サンタクロースは、にこにこ顔で頷いた。
「うむ。捕まってもよいが、今夜は無理じゃよ。クリスマスプレゼントは、クリスマスイブに届ける。これが、サンタの国の決まりじゃからのぅ」
「届け終わったら、根古多村にも来てくれますか?子猫たちが、サンタクロースは、人間の子供たち限定なのか知りたがっているんです」
ラータが熱心に頼むと、サンタクロースは、にっこり笑って承諾してくれた。
「ほっほっほっ、もちろんじゃよ、お嬢さん。しかし、猫が喋るとは、不思議じゃのぅ」
ラータは、そう言われて思い出した。
助けて貰った御礼を、まだ言っていない。
慌てて、ベッドから降りて、ぺこりと頭を下げた。
「はじめまして、サンタさん。私、化け猫なんです。助けてくれて、ありがとうございました」
今度は、サンタクロースが目を見張った。
「これは、びっくり!お嬢さんは、化け猫かね。わしは、化け猫にも人気かね」
「ええ、とっても!!私なんて、サンタクロースを捕まえる為に、時計台の天辺に登って、煙突を見張っていたんですよ?サンタクロースは、大人気です!!」
ラータが力強く言い切ると、サンタクロースは大笑いした。
「ほっほっほっ、ほっほっほっ。それは、ありがたい。サンタ冥利につきるのぅ。ほっほっほっ、ほっほっほっ」
その時、賑やかな蹄の音が、丸太小屋の外から聞こえてきた。
「ほっほっほっ、どうやら皆、戻って来たようじゃ。さあ、お嬢さん、紹介しよう。ついてきなさい、お嬢さんを見つけて連れて来たのは、トナカイたちじゃよ」
「トナカイもいるんですか!?」
ラータは、胸がいっぱいになった。
恋愛要素は一切なし、ほのぼのクリマス・ストーリーです。
次回だけ、ほんの少しバトル要素が入ります。
野ネズミ大好きなラータが、雪女と一緒に、炎ネズミを打ち負かします。