表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
からっぽ  作者: てりやき
ゆうか
84/95

八十九日目

 ゆうかに、映画オタク、もとい「タクミ」のことを書けと言ったのには、それなりに理由があった。

 まず俺は、タクミが死んだ日のことを何も覚えてない。

 周りの人の話によると、俺は彼が死んだ朝、立ったまま気を失って、たおれた時に頭を打って記憶を失くしたらしい。

 そして、タクミという人物についても、あまり覚えていない。

 覚えていることといえば、「映画が好きな同世代の男がいた」ってことだけで、その子の名前がタクミだと言われても、正直あんまりピンとこなかった。だから、ぶっちゃけて言うと、今まで書いた日記に出てきた映画オタクは、俺の頭の中の想像の人間であって、「タクミ」ではないのだ。

 その上で、俺は知りたかった。

 タクミは死んで、過去の人となったので、知ったところでどうにかなるわけじゃなかった。

 けど、タクミと過ごした時間を少しでも思い出せれば、その記憶は俺の中に残る。

 人間らしく生きるために俺にできることは、もう、それぐらいしかないのだ。




 それにしても、ゆうかはあの日のことを書いたのだろうか。

 タクミのことを書くのなら、あの日起こったことを書かざるを得ないと思うけど……

 あの日、何が起きていたのかも、知りたい。

 なぜなら次の日から、すべてが変わっていたから。

 ゆうかは俺にあたりが強くなって、桜は気持ち悪いぐらい感情豊かになって、結はまったくしゃべらなくなった。

 そして、あの日の次の日から、日記を書かされ始めた。

 あの日のことを知れば、ゆうかや桜や結ともっと心からつながれる。




 でも、その先は?

 俺と桜はともかく、ゆうかや結は?

 結は普通の人間だから、どうにかなるか。桜が理解者になってくれるだろうし。

 じゃあ、ゆうかは?

 俺が救うしか無いのか?

 異常者を理解できるのは、やっぱり異常者だけだ。

 ……そうじゃない可能性もあるけど。それでも、やるしかない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ