本性について。7月28日(火)
きのう、三人で遊んだとこまではよかったんだけど、そっからなぜか、大翔がオレの家に来た。
大翔はオレの家を、変だと言った。
「一人で住むにしては、やっぱり広すぎる」
それ以上は、おたがいに何も言わなかった。
オレの部屋に入ってさっそく、大翔は本題を言ってきた。
日記を見せろ、って。
最初、オレは全力でイヤだと言った。
けど、オレは大翔の日記を何回も見てるから、不公平だと言われて、何も言い返せなかった。
結局、オレは日記を見せることにした。
あいつが読んでるあいだ、オレはずっと夜ご飯を作っていた。別に待っててもよかったんだけど、なんか、どんな風に待ってたらいいか分からなくて、気まずくて、その場から逃げちまった。
大翔はオレの日記をじっくりと時間をかけて読んでいった。どんぐらいかって言うと、読み終わるころには、外は真っ暗になってたぐらい。
1時間ぐらい読んでたんじゃねーかな。
けど、そんだけ時間かけたくせに、あいつはオレの日記に何も言わなかった。
「こっちはビクビクしながら待ってたのに、バカみたいじゃねーか」
2人でメシ食ってた時、思わず、オレはつぶやいた。
「……なんでもねぇ」
「ゆうかの本音が知れてよかった」
大翔は白米をかみながら、モゴモゴと言った。
オレはその時、なにか言わなきゃいけねー気がして、ちょっと口を開いた。でも、なんも出てこなくて、大翔がつづきをなにか言いたげなことに気づいて、あわてて口をとじた。
「日記を書く、ってのは、自分と向き合うってことだって気づいたんだ。まあ、一行日記とかはまた別なのかもしれないけど」
それだけ言って、大翔はメシを再開した。
オレは、何カッコつけてんだ、って思いながらも、心の中では少しナットクしていた。
いや、何日か前にフロ入った時、オレもおんなじようなこと考えてたんよ。
そん時、オレはたしか「日記書くっつーのは、おフロの排水溝のふたを取るのに似てんなー」って思ってた笑。ほら、排水溝って、あの、かみの毛とかたまるとこ。
あれ、たまに外した時、そうじすんのメンドイし汚いから、オレはしょっちゅう見て見ぬふりするんよ。でもなんかモヤモヤして、フロ上がる時にやっぱやるかーってなるっていう笑。
けど、これってまさにオレの日記だったんよ。書いていくうちに、見ないようにしてた汚いとこが言葉に出てて、そのあとにどれだけごまかそうとしても、もう書く前にはもどれねぇっつーか……
そんなこと考えてたら、大翔は山盛りだったごはんを、いつの間にか食い終えてた。
「ただ、一個、ごまかしてることあるよね?」
オレはドキッとした。
心当たりが、ちゃんとあったから。
「「拓実のこと」」
オレら2人の声、めっちゃきれーにハモって、オレはめっちゃ笑いそうになった笑。
「ふっ……」
大翔はピクリとも笑わんかったけど。
「…………」
「……明日から、書きます」
そうして、大翔は家に帰った。
泊まってけば?って聞いたんだけど、「まだ信頼してないから」って言われた。
やっぱまだ、オレのことキライなんかな。
拓実のことは、見て見ぬふりしてるモヤモヤのひとつ。
……明日、書くかあ。
このモヤモヤ、いつか全部キレイにしなきゃいけねーんかな。
ってか、キレイになる日なんて来るのか?




