異常者について。7月24日(金)
大翔が書いてる、あの日記。
オレが書かせ始めたやつなんだよねー。
今さらだけど笑。
最近、あの日記について大翔に聞かれることが多くなったんだー。
なんでこんなの書かせるんだ、ゆうかは俺に何を書いてほしいんだ、って。
聞かれてあたりまえだとは思ってんだ。だって、オレは最初、こう書けよって命令したんだから。
なんて言ったっけ、オレ。
「物語風に書け」だっけか。
あいつは、異常なんだよ。
それは、ちょっとおかしいとかじゃなくて、社会的に認められないほどの異常さを持ってんだ。
実際、最初の数日分読んだだけで、オレが想像してたよりも10倍ぐらい異常だった。
ネットではよく「犯罪者予備軍」だとかいう人たちがいるけど、大翔は本物だと思う。なんって言ったって、もうやっちゃってんだからね笑。
だけどオレは、あいつを普通の人間にもどしてやりたかった。
日記を書けば、大翔が自分の異常さに気づいてくれっと思ったんだよ。
そうだった。
だからオレは、「物語風に書け」って言ったんだよ。
……多分。
自分でもよく覚えてねーけど。
ただ、あいつは普通になるどころか、どんどんおかしくなっていってる気がする。
なんか、変なこと聞いてきたりするし。
この前は、普通の人ってどんな人のこと言うんだ、って聞かれた。
「オレは、社会に出てもやってけるような人は、全員普通の人だと思ってっけど」
オレの中の、普通の人の定義。
ただ、それから、あいつはこう言ってきたんだ。
「犯罪を犯したやつは、社会でやってけんの?」
「異常者め」
どういう意味かわからんかった。
大翔はこういう風に、オレに攻撃するようになった。
別にオレはかまわないけど、なにが気に食わないのかがわからなかった。
多分だけど、オレがあいつの日記を見たからかなぁ。
オレに日記なんて見てほしくないのか、それとも、ほかの人の日記を見る永峯ゆうかがキライなのか。
いずれにせよ、あいつのわがままだろ。
あいつの日記では、オレはすげぇいいヤツみたいになってるよな。思いやりがあって、頭がいいヤツ、みたいな。
気持ち悪ぃ。
言っとくけど、オレは聖人でもなんでもねーし。
なんならオレは自分のこと、普通の人に受け入れてもらえるようにしてる、ただの異常者だと思ってるし。
そんなオレに、あいつの勝手な理想を押し付けられても、こっちが困る。
ってか、もう夏休み入ったらしいな。
先週から学校行ってなかったから、気づかなかった。
あー……。
あちぃ。
セミが鳴いてる。
……なんか、つかれたなぁ。




