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からっぽ  作者: てりやき
ゆうか
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母さんについて。7月23日(木)

 オレの母さんは、深層心理学が大好きだった。

 なんか、人間は無意識的に考えたり動いたりするんだけど、それがどういう仕組みになってんのかを研究してたっぽい。

 例えば、有名なやつだと、うでを組むのは自分の体を本能で守ろうとしてるから、とか。

 けっこうおもろかったから、真面目に心理学者になろーかなーなんて考えてた時もあったなぁ。


 心理学の話をする母さんは、とても生き生きしてた。

 自分の話を熱心に聞いてくれる子供を、キライな親はいないだろう。

 ただ実は、あんまり話の内容は覚えてなくて、それよりも、時々母さんが話しづらそうにしてたことしか覚えてない笑。


 母さんのせいか、オレは成長していく中で、どんどん人の心理を考えるようになった。

 この子はなんであの子がキライなんだろう。

 なんで注意してもらったのに怒ってるんだろう。

 いじめられている子のことを笑っているのはなんでだろう。

 そして、ある時気づいた。

 みんな、自分のことしか考えてないからなんだな、って。

 ふつーに考えて、それはそう。だって、昔の人たちは生きのびるのがやっとだったんだから。

 でも、それからは、先生とか、友達とかが、オレのために何かしてくれても、結局自分自身のためにやってんだなって思うようになっちまった。見返りがほしかったり、オレに好かれて気持ちよくなりたかったり、自分を守るためだったり。

 その日からオレは、人のことを信じられなくなった。

 まあ、それだけならよかった。

 問題は、オレもほかの人たちと同じ、人間だったってこと。

 オレの行動も、自分勝手で、しかも人間である限り逃げられない。そう思ったら、なんか、どうやって生きればいいのかがわからなくなった。

 ……いや、重いな。話が。

 言っとくけど、別に悲しんでるわけじゃないんよ。

 ただ、じゃあ、例えばの話。オレが人間じゃない別の生き物だったら、人間に向かって「お前ら自分勝手すぎ!」って言えるじゃん。でも、オレは人間だから、「人間は自分勝手で〜」なんて語っても、何様だよってなるじゃん。

 言いたいことわかる?

 自分がすごいとか、特別だとか、思えなくなったってこと。

 あるあるでしょ? ちっちゃいときは自分が物語の主人公だって思ってたけど……ってやつ。

 大人ぶってるとか、そういうのじゃなくて、自分の平凡さを知ったって感じよ。

 もう、自分で書いててよくわからんくなってきたわ笑笑。


 なんか、母さんが時々悲しそうな顔をしてたのが、なんでか分かったわ。

 世の中には、「知らない幸せ」ってもんがあるって言われてっけど、心理学もその一つなんだよ。多分。

 だから母さんは、鬱なんかになったんだ。

 なーんだ、ナットク。

 じゃあ、大翔もそのうち鬱になるんかな?

 笑笑笑笑。

 あー、アタマおかしくなりそー。

 今日は早めにねます。

 おやすみなさい。

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