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動くメイシェン商会

エレベーターに乗って一気に最上階である50階に上がると、青年はエレベーターから降りた。


50階から45階まではファウストの私室となっており、愛人や正妻が住む部屋や、家族の部屋などに割り当てられている。


50階の部屋は……マジェスタで亡くなった仲間を偲ぶ部屋で、部屋のあちこちにマジェスタの者達の写真や遺品が飾られていた。


その奥には、大きく引き伸ばされ額縁に入れられたマキナとルーチェの幸せそうな笑顔の写真が飾られている。


……馬鹿な男……中途半端に夫だけに執着して戦争を引き起こすとは……


赤い髪を背に流し、涼し気な瞳の美しい青年は燕尾服を着ており、マキナとルーチェの写真に近付くと優しく……二人の頭に触れる。


ツツジ・クレイム・カイバラ・トオダ(50)。

ファウストの後妻でクオンとシズクの育ての母。マキナとモミジの母方の伯父で姉夫婦を亡くし、引き取った二人を育てていた頃にファウストと出会って結婚した。クオンとシズク、マキナとモミジは家族で四人がアカデミーを出て独り立ちするまで共に暮らしていた。


「……やっと……二人が何故死ななければ行けなかったのか……その理由が少しずつ見えて来ましたね。……安心して眠りなさい。仇は取ってあげます。……絶対にね……」


ツツジは二人の写真に声を掛けると、名残惜しそうにしつつ再びエレベーターに乗ると、下の階に降りていく。


……ファウストがレナードを名乗って居たのは……理由があります。


エレベーターの窓越しに見えるダンダリオンの町並みを見詰めながら、ツツジは思考する。


……宇宙連邦軍と地球連邦軍が同等の人型機動兵器を有していれば……互いの抑止力となりパワーバランスも取れると判断したからです。


両軍の上層部も知っていた上で、恐らく強硬派がダニエルを上手く誘導して動かしたのでしょう……。


戦争のきっかけを探していた強硬派に取って、ダニエルなど便利な金づる……玩具程度でしょうしね。


口許を歪めて、ツツジは先を読むと顎に手を当てる。


……無能なダニエルはただの美しい看板……真のグラフォス商会代表は恐らく……


そこまでツツジが考えたその時……


『ツツジ、グラフォス商会副代表達が動きましたよ』


「……あぁ、やっぱりそうでしたか……」


通信ピアスからリキュウの報告が届き、ツツジは笑みを浮かべる。


『サタン防衛府を出て北に向かってます。恐らく今手薄になっている北7番港で逃走するようですね』


「……副代表達も美形ばかりだと聞きます。……ダニエルが捕まって焦ったのでしょうね。本人と連絡が取れなくなって直ぐの行動なら早い判断力と評価すべきでしょうが……残念ですが、我がハムレットに来た時点で全て詰んでます。

……向かう先が分かって居るのなら待ち伏せするだけですよ。……そうですね、……ソイはそのまま尾行させて待ち伏せには……ラーシャに行かせましょう」


リキュウにツツジは瞬時に最適な者を選抜して命じる。


『承知致しました、直ちにラーシャに行かせます』


ツツジに命じられリキュウは答えた。


「他にグラフォス商会が動きを見せたら私に報告しなさい。ファウストは愉しんでいて動けないので……代わりに私が何かあれば直々に出ましょう」


『……承知致しました、それでは失礼します』


ツツジに命じられたリキュウは通信を切る。


「……やっと時は動き始めたのです……せめて黒幕の尻尾さえ掴めれば……」


ツツジは呟くと、30階に着いてエレベーターから降りるのだった。




一方、通信を切ったリキュウは考え込んでいた。


……ファウストがお愉しみ中と言う事は……ダニエルとですね……。……彼の事です、愛人にするといいだしてツツジの逆鱗に触れないと良いのですが……いいえ、今はグラフォスの事が優先です。


不安そうにリキュウは考えた後、思考を切り替えて椅子から立ち上がる。


「ラーシャ、ツツジからの命令です。逃走したグラフォス商会達は北七番港に向かって居るので待ち伏せしなさい」


『はいはーい、了解でえーす』


リキュウが通信で命令を伝えると、少女のような少年の可愛らしい声で返事が返って来た。


そして直ぐに通信が切られ、リキュウは溜め息を着く。


……後はラーシャとソイに任せましょうか……。


リキュウは頷くと、思考を再び切り替えて会議室へと向かうのだった。




北7番港に、金髪の長い髪を二つに結わえ、メイドの制服を着た幼い少年が軽やかな足取りで歩いていた。


「早くグラフォス商会来ないかな?まぁ、俺が退屈しなきゃ良いけど……商人相手だしつまらないかも。

リュドシエル達だけズルいよ、俺も機体に乗って闘いたかったなぁ……」


少年は不満そうに言うと、誰もいないカフェの椅子に座って足をぶらぶらと揺らす。






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