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狐の独壇場

ハムレット政治区パーラメントでら、サタン防衛府にて多くの商会代表が参加する大会議が開かれていた。


「皆様、御覧になられましたか?このように……今は再びサタン商会のハムレットに宇宙連邦軍が攻め入って居るのです」


きらびやかな衣装は、妓女のように派手でありながらも、まるで天女の如く美しい青年は長い黒髪を背に流しており、背後のモニターに映るのはサタンタワーが襲撃された時の様子。


リキュウ・リー・メイシェン(35)。僅か一代で富を築いたメイシェン大商会の商会長で、今は商会長と兼任しつつサタン家の侍従長も務めているが……リュドシエルの好みでメイドの制服を着ていたりする。


「……やはり……マジェスタを襲ったと言うのは本当だったのか!?」


「生き残った者の証言だと……地球連邦軍のザガックも居たらしいぞ」


「自作自演で戦争の引き金を起こしたのなら……双方の軍にも信用性が失われてしまう……」


「……我々商会をも殺すと言うのが答えなら……我々の立場や身の振り方も考えねば……」


老若男女の各商会代表が今の事態を深刻に捉え、激しく意見をぶつけ合う。


……商会代表は現実を見せれば直ぐに頭を働かせる。混乱させるのは以外にも簡単でしたね。


内心舌舐りをしてリキュウは、目を細め様子を見て判断する。



「マジェスタでサタン商会と、我がメイシェン商会は多くの仲間と家族を失い……この5年間ずっと苦しんで来ました」


リキュウは右手で顔を覆い隠して悲しみの大きさを表現する。


「……5年間も……」


「さぞや辛かったでしょうな……」


商会代表達が顔を見合わせ、リキュウに同情し始めた。


「ですが……その悲しみ、苦しみを乗り越えてサタン商会とメイシェン商会は共同開発し……遂に自衛出来る力を手に入れたのです」


右手を顔から離すと、リキュウの言葉と共に背後のモニターにサタナエル、ミカエル、ルシファー、ガブリエルの姿が映る。


「何と……オリジナル人型機動兵器か!?」


「ガゴイやザガックと違ってフォルムもシンプルでスマートですな」


「ですが……性能の方はどうなので?」


「ふむ、見掛け倒しで性能の方が弱いこともあるのう」


商会代表達は口々に厳しい声へと代わって行く。


……中身と能力で理を得る……流石は商会代表か……。だが……勿論、その意見も私は予想済みですよ。


薄くリキュウは笑みを浮かべると、後ろのモニターの映像が切り替わった。


その映像とは、ルシファーがガゴイを圧倒して撃墜する様子だった。


「ガゴイのマシンガンを防いだ黒い焔はなんだ!?」


「何もない空間から大鎌を出したぞ!?」


「あの宇宙連邦軍の主力であるガゴイを一刀両断するとは……!?」


予想通り、商会代表達は激しく動揺する。


「機体の性能や、詳しい情報は企業秘密なので詳しく話せませんが……残りのガゴイ二機を撃墜あるいは……捕獲出来たその時には是非我々サタン商会とメイシェン商会に出資して頂きたいのです」


前を向き、リキュウは商会代表達に言い放つ大きな賭けに出た。


商会代表達は目を丸くして言葉を失くし黙り込む。


「……つまり、リキュウ会長は……我々に地球連邦軍と宇宙連邦軍との手を切り、サタン商会とメイシェン商会と組めと仰有りたいのですか?」


一人の商会代表、ダニエル・グラフォス(28)が問い掛けてテーブルの上に手を組む。


「流石はグラフォス会長……、話が早くて助かります。我々商人は理を得て金の取引をする事で財を成して来ました。

ハムレットを襲撃された事で、もはや宇宙連邦軍も旨味の無い相手だと言うことは御理解頂けた筈……。

理を失くし、金も得られぬガラクタは損をするだけの疫病神です。又、マジェスタの攻撃に加わった地球連邦軍もガラクタ……。商人は何よりもリスクとデメリットを嫌う物ですよね?」


リキュウは穏やかな笑みを浮かべて商会代表達を見回す。


「ぐぬぬ……」


「的を射てますね……」


「……確かにリスクは抱えたくない……」


「ガラクタなんぞに旨味は皆無……」


商会代表達は思わず互いに顔を見合わせる。


「……リキュウ会長、我々が貴方とリュドシエル会長と手を組む事を選んだ場合……見返りはあるのでしょうか?」


他の商会代表達の中から、ダニエルがリキュウに問い掛ける。


「私とリュドシエル会長は商人のためのし、商人による理想を掲げる国を建国しようと考えています」


笑みを浮かべてリキュウは堂々と宣言する。


「……商人の国……だと?」


「いやはや……流石に不可能では……?」


「いや……だがしかし……天才と名高いリキュウ会長とリュドシエル会長なら……」


案の定、商会代表達は再び困惑してしまう。


「……ふふ……本当に面白い人ですね」


ダニエルは楽しそうに微笑む。


「商会代表の皆様には……是非国の要職に着いて貰いたいと考えております。商会と国の要職、どちらもそのままの地位で着けると申しましたら……どれ程の旨味があるのか……もうお分かりいただけるかと思いますが……」


畳み掛けるように、リキュウは更に甘美なる言葉を掛けた。


「……地位はそのままで……」


「……要職……」


「我々が……」


「ほう……」


「ふむ……」


商会代表顔を見合わせて頷き合う。


「……宜しいでしょう。では……サタン商会が勝利を治めた暁には……我々は貴方達と手を組みます」


ダニエルがリキュウに宣言する。


「ありがとうございます、必ずや勝利を御見せ致しましょう」


笑みを浮かべてリキュウは商会代表に答える。


この場で、全ての商会代表達の方針は決まるのだった。









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