宇宙連邦軍の闇
「カイバラ艦長、ジュリエットとの通信繋がります」
「ありがとうございます」
ヤナギに言われクオンは微笑む。
『カイバラ艦長、どうやら無事にディーバが動けたようだな』
通信が繋がり、モニターに映ったヒイラギが笑みを浮かべクオンに言う。
「会長達がガゴイと交戦してくれているおかげです。連中は爪も甘かった様ですし……あっさりダミーの研究室と機体の方へ行ってくれましたからね。ローザにも残党を掃除して貰ったので、残りは交戦中のガゴイと、デブリをカモフラージュにして居るトマフル艦とトマフル部隊ですね」
頷いてクオンも言うと、リュージュがトマフル部隊の位置を割り出した座標をジュリエットにも送信する。
『うーん、今のところはデブリに擬態しているオフィーリアに気付いていない様だが……我々から攻めるか?』
「……いえ、これは会長の判断に任せましょう。トマフルの次の動きも現時点では読めませんし……オフィーリアのスオウ達にも引き続き監視を任せます」
ヒイラギの意見に、目を細め少し考えた後クオンは否定した。
『まあ、確かにな……。それじゃトマフルはそれで良いとして……【ウルフズ】のメンバーの件はどうなっている?』
「蘇生と同時に異種族化には成功しましたが……」
話を切り替えたヒイラギに聞かれたクオンは表情を曇らせると、隣に立つヤナギに問い掛ける。
「……兄さん達がマジェスタで戦死した後に後任のウルフズに入ったメンバーの中に……マーキュス副艦長、貴方の弟も入って居る事が判明した」
ヤナギが言いにくそうにヒイラギとリカルドに向かって事実を告げた。
『……そうでしたか……』
だが、目を見開いて言葉を失くすヒイラギと違ってリカルドは横からモニターに映ると、冷静に事実を受け止める。
「……驚かれないのですか?」
思わずヤナギはリカルドに問い掛けた。
『……元々私の生家マーキュス家は代々軍人の家系でしたし……それに私達先代の【ウルフズ】がマジェスタの攻撃に巻き込まれ戦死した後、直属の上司だった当時の司令官と、幹部だった父も宇宙連邦軍の内乱で亡くなられた様ですしね』
苦笑してリカルドが言うと、ヒイラギに視線を向ける。
『代わって今の司令官になった奴は……強硬派の筆頭格であると同時に……愛玩兵士推進派でもある。後釜になった今の【ウルフズ】も……考えれば察しが着くと言う訳だ』
複雑な表情でヒイラギはリカルドの続きを離すと溜め息を着く。
「……軍人ってのは今も昔も嫌だな……」
目を細めたヤナギはヒイラギに言うと肩を竦めた。
『ヤナギ、お前だって軍人じゃなくてもマジェスタで一度死んでるんだから人の事言えねぇぞ』
そんなヤナギにヒイラギが文句を言って腕を組む。
「そりゃ分かってるけど……その愛玩兵ってのは具体的な数値を人数で示すとどのくらい居るんだ?」
目を細めたヤナギは、ヒイラギとリカルドに問い掛ける。
『……正確な人数は分かりませんが……恐らく過半数を占めていると思いますね』
言いづらそうにリカルドは表情を曇らせて答えた。
「マジか……」
「過半数……」
思わずヤナギとクオンは目を丸くした後、青ざめた表情で絶句してしまう。
『【ウルフズ】の尋問は、俺とヤナギ、それと元【ウルフズ】の奴等で行う。……ジュリエットがディーバに合流するぞ』
「いやいや……それ言ったらジュリエット全クルーになるだろう?」
ヒイラギに言われてヤナギは思わずツッコミを入れる。
『仕方無いだろうが……あの時は【ウルフ】の全部隊が死んだんだからさ……』
目を細めてヒイラギは呆れた顔をした。
『当時の【ウルフズ】元メンバーの中でも……主要メンバーを選抜してディーバに向かいます』
苦笑してリカルドはクオンに言う。
「分かりました、合流地点はどのポイントにしますか?」
クオンも苦笑いしてリカルドに確認する。
『そうですね……交戦中のポイントはなるべく避けたいですし……サタンタワーの南東にあるサタン公園の上空ならどうですか?』
少し考えてリカルドはクオンに尋ねた。
「あの公園なら……交戦しているオフィスビル街からも距離がありますね。そのポイントで問題ありませんよ」
頷いてクオンも了承する。
『ありがとうございます、それでは今から一時間後にサタン公園上空で落ち合いましょう』
にこやかにリカルドも微笑む。
『ヤナギ、じゃあな!!』
「ちっ!!」
ヒイラギが手を振って言うと、ヤナギは舌打ちして腕を組みジュリエットから通信が切れるのだった。
「……どうしたんだ?リュージュ?」
ふと、不機嫌な様子のリュージュに気付いたムウタは尋ねる。
「いや……なんか……男に走った兄貴も居るから人には言えないけど……宇宙連邦軍も……その男同士で関係持つの多いと思ってね」
目を細めてリュージュはムウタに答えると、溜め息を着いた。
「会長の場合は理由が違いますが……軍人の場合は戦場で一度でも人を殺すと、非常に気分が昂り性的興奮に理性的な歯止めが効かなくなるんですよ。……うちの父も、部下と関係を持って居ましたし……女性相手だとどうしても自重してしまいますが……男相手だと本能のままに従えますからね」
苦笑いしてクオンはリュージュに答える。
「……私は女なので……同性の男同士で何が良いのか分かりません。たまに見るローザさんはセクシーに見えますが……」
首を横に振ってリュージュはクオンに言うと肩を竦めた。
「ふふ……まあ、普通はその反応が正解ですね」
思わずクオンは苦笑すると、席に着いて座る。
「ディーバ、南東に進路を転進して下さい、サタン公園に向かいます」
「了解!!ディーバ南東のサタン公園に転進!!」
クオンに命じられたシュンは、レバーを引くとディーバも南東へ巨大な船体の向きを変えるのだった。
……ローザさんはやっぱり淫乱……しかも…エロい秘書だと思うわ!!
リュージュは呆れた顔をした。




