姉さんに殴られて来いよ
「ねぇ、モミジ。人間には必ず死が訪れるわ。例外無く誰にでもね……」
久し振りに会った姉さんは、中庭で遊ぶ姪っ子のルーチェと義兄リュドシエルを見ながら俺に言った。
「そりゃ当然だろう?人間だって限られた時の中で生きてるんだからさ」
呆れた顔をして俺は姉の向かい側の席に座る。
「……私が今研究しているのは……人間を永遠の存在へと進化させる為の研究なの。……この研究は……人工異種族化計画と言ってね……成功すればスペースノイドも、ヒューマノイドも……誰も関係無く永遠の命を手にする事が出来るのよ」
姉さんは嬉しそうな笑顔で俺に答えた。
「……へえ~~、ちょっと……計画が余りにも大き過ぎて俺には分からねぇけど……本当に成功すれば、今は互いにいがみ合ってあるスペースノイドも、ヒューマノイドも……争いが無くなるかも知れねぇな」
だから俺も姉さんの気持ちが分かっていたから言葉を掛ける。
「……えぇ、だから私は何が何でも計画を成功させたいのよ。誰もが永遠の命になれば……この下らない争いも無くなるし……私は……リュドシエルとルーチェと共に笑って暮らしたいの。まぁ……永遠の時を生きるってのは……ちょっとまだ全然考えて無いんだけどね……でも私は諦めないわ」
その時の姉さんはとても良い顔をして自身に満ちていたのを今でも俺は覚えている。
だから……俺は姉さんを……ルーチェを、仲間を殺したこいつらを許せない……!!
モミジは前方を飛行するガゴイを追って飛行していた。
ルシファーは右手に黒い魔力を纏うと、具現化させ黒い大鎌を出現させる。
『疑似闇魔法発動確認ディーバ格納庫から疑似空間魔法を繋げ、デビルグレイブ(悪魔の鎌)装備完了したぜ』
デビルグレイブを確認して、モミジは記録して行く。
『なっ何だ!?あいつ……一体何処から武器を出しやがったんだ!?』
メインカメラで様子を見ていたダコは思わず叫ぶ。
『このくらいで驚くんじゃねぇよ。……うちに喧嘩売って来たのはてめぇ達なんだ。……きっちり落とし前付けやがれ』
ルシファーはデビルグレイブを振り上げると、デビルグレイブの鎌が黒い魔力を纏う。
『ばっ化け物おぉぉぉっ!!』
ルシファーの姿に、本能で恐怖を感じたダコはマシンガンでルシファーを撃ちまくる。
……だが、ルシファーに弾が当たる前に、その全ての弾が黒い炎に包まれて燃え尽きて行く。
『インフェルノ(悪魔の焔)……疑似闇防御魔法発動確認……うーん、今のところは問題点はねえかな……?』
メインカメラでルシファーの状態を確認してモミジはボヤいた。
『……そんな……ありったけの弾数を撃ち込んだのに……!?』
絶望してダコは青ざめる。
『……そうやってお前等は……5年前のマジェスタを襲ったんだろ?民間人を虫けら見たいに殺してよ……』
ルシファーはデビルグレイブを肩に担ぐ。
『……命令だったんだ!!逆らえば殺されるっ!!仕方無いだろう!?……マジェスタは楽だったのに……何故お前等は武力を持って居るんだ!?商人らしくさっさと塵になれば良いのに!!』
ダコは半狂乱になると、ガゴイでマシンガンをでたらめに撃ちまくる。
『……それが本音か?仕方無いで失った命を勝手に片付けられちゃ堪らねぇよな……』
銃弾の雨の中、ルシファーは最小限の回避のみで避けると、徐々に距離を詰めガゴイの真後ろへ回り込む。
『っ……!?』
ダコは目を見開き、慌てルシファーに反応しようとするが……
『あの世で姉さんに殴られて来いよ。……まぁ、半殺しになるかもしれねぇけどさ』
ルシファーはデビルグレイブをガゴイに振り降ろして、パイロットのダコもろとも上下真っ二つに両断する。
両断されたガゴイは、電気系統を寸断された事により、小規模な爆発を散発的に起こしていく。
ガゴイを背にして、ルシファーがデビルグレイブを肩に担ぐと、ついにガゴイは大爆発を起こして吹っ飛ぶ。
『あー会長?ガゴイ一機仕留めたぜ』
モミジは通信でリュドシエルに報告すると、デビルグレイブを肩に担いだままその場から移動するのだった。




