閑話ある女性研究員の最期Ⅳ
何とか時間を掛け、私はやっと自宅へと帰って来れた。
……良かった、まだ自宅もPCも無事ね。通信回線も遮断されるのは時間の問題……それでも私は……!!
直ぐに私は自室に入ると、PCを起動すると共に私の研究データを夫のPCへと送信していく。
そして震える指で夫との通信回線を開いた。
『マキナ!?どうしたんだ!?その怪我は一体!?ルーチェは!?ルーチェも近くに居るのか!?』
直ぐに夫の慌てる顔が映って悲しみが込み上げて来る。
「……ルーチェは死んだわ。マジェスタは今……攻撃されているの。……地球連邦軍と宇宙連邦軍が……裏で繋がっていて……ルーチェの保育園を攻撃したのは……黒いガゴイだったわ。私は目の前で見たの。……ルーチェを守れなくてごめんなさい……」
『そんな……裏で繋がっていた……?有り得ん……マジェスタは中立コロニーだぞ!?ルーチェが……何故マジェスタを……!?』
私から聞いて夫は青ざめた表情で叫ぶ。
「……たぶん、私の研究を軍で利用しようとして私が断ったから……私諸とも消す気なのよ。……リュド、良く聞いて。貴方のPCに私の研究データを送信して今……丁度終わった所なの。私の代わりに……貴方が世界から戦争を亡くして頂戴」
『……っ!!……駄目だ……それなら君も!!』
夫はPCの画面に近付いて叫ぶ。
自宅の目の前に、ガゴイが飛んで来ると私が居る部屋に向かってバズーカを構える。
「愛しているわ、リュドシエル。誰よりも私とルーチェは貴方の幸せを願って居るからね……」
私が夫に言い終えると同時に、ガゴイのバズーカで私は吹っ飛ばされ爆発に巻き込まれた。
そこで私の意識も途切れてしまって真っ暗になったわ。
もっと貴方と愛し合いたかったし、ルーチェの成長も見たかった。
もう叶わないけど……リュドシエル、貴方の妻になれて嬉しかったわ。