閑話ある女性研究員の最期Ⅲ
火に包まれる街中をひたすらAT自転車で走り抜け、やっとルーチェの通う保育園が目の前に見えた。
「……良かった……これでルーチェも一緒に……」
「……え?」
私がAT自転車から降りた瞬間だった。
1機の黒いガゴイが、宇宙連邦軍で味方である筈なのに、目の前でバズーカを上空から保育園に向かって射った。
「きゃああああっ!!」
私は保育園の爆発で吹っ飛ぶ。
「……あぁ……そんな……嘘よ……ルーチェ……ルーチェえええっ!!」
意識を取り戻した私は、保育園があったクレーターを見て叫ぶ。
……どうして!?まさか……そんな……地球連邦軍と宇宙連邦軍が手を組んでマジェスタを攻撃したと言うの!?
信じたくない現実に、私の心は押し潰されそうになる。
……もしかして……私の研究を……軍が欲しがった一週間前のトラブルが原因!?
……だけど……この研究は……宇宙と地球も……全ての人々の為の研究で……軍事利用されでもしたら……終わりが見えない戦争になるわ。
……そうか……内部の軍関係者が地球連邦軍の過激派と組んで従わない私を研究所諸とも消そうと……ごめんね……ルーチェ。
……ママのせいでルーチェが……本当に……ごめん……。
そこまで考えて、私はルーチェに対して申し訳無くて思わず後から涙が溢れ出た。
……でも……奴等の思惑通りにはさせないわ!!
涙を強引に拭うと、折れた足を引き摺りながら私は立ち上がり自宅へと急ぐ。