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閑話ある女性研究員の最期Ⅱ
娘を見送ると、私は直ぐに白衣を着て自宅から出る。
AT自転車で職場の研究所に向かうと、中に入った瞬間既にいつも仲間達の様子がおかしかった。
テレビをかじりつくように見ている皆の顔は真剣だった。
「どうかしたの?」
「……マキナ所長、それが……」
私が声を掛けると、振り返った部下の表情は重苦しい。
「……一体……何を見て……っ!?」
皆の中から私はテレビの前に出ると、画面の映像を見て言葉を失った。
今……正にこのマジェスタが地球連邦軍に侵攻されており、防衛隊も突破されるのは時間の問題だった。
「っ……ルーチェっ!!」
私は直ぐに娘の事で頭がいっぱいになる。
「所長!?今は危険です!!」
「構わないわ!!退いて!!」
部下の静止を振り切って私はAT自転車で飛び出す。
既に防衛隊が破れたらしく、地球連邦軍の人型機動兵器が飛び交いながら街を襲撃している。
茶色の機体ザガックは、主力機で汎用性にも優れているから小回りも効くし、機動力も良いから本当に厄介ね。