流される血と、消える命
『こちらサタン商会本部より皆さんへ緊急事態をお伝えします。商業コロニーハムレットに向けて、宇宙連邦軍の機体数機を確認しました。これより、我がハムレットは迎撃体勢に入ります。非戦闘員の皆さんはサタン商会の誘導に従って最寄りのシェルターへ避難してください。繰り返します……』
「宇宙連邦軍がハムレットを攻めるだって!?」
「正気とは思えん!!このコロニーは宇宙の貿易の要だぞ!?」
「くそっ!!早くシェルターに!!」
「シェルターは何処!?」
「皆さん、落ち着いてください!!シェルターは此方です!!」
アナウンスが流れ、地上に居た人々は慌てシェルターへと向かう。
「悪いね、ネズミ君」
リュドシエルはポケットから銃を取り出すと、銃口をセラに突き付けた。
「っ……!?」
セラは青ざめて目を見開く。
「本当は君を泳がせる予定だったのだがね……事情が変わってしまったのだよ。悪く思わないでくれ」
そのままリュドシエルは引き金を引き、セラの額を撃ち抜いて射殺する。
「……死体をどうなさいます?」
「恐らく他のウルフズも死体になる筈だ。本格的に戦闘に入る前には回収班を向かわせてセラと共に死体を保管してくれ」
ローザに聞かれ、リュドシエルは返り血を浴びたまま答えた。
「僕は何より無駄が嫌いでね?使える人材は有効に使いたいのだよ」
楽しそうにリュドシエルは笑って答えるのだった。
アナウンスが流れ、人々が逃げ惑う中、ビリアームズ達は二人と対峙していた。
「どういう事だ!?お前達は最初からハムレットを攻撃するつもりだったのか!?」
ビリアームズがスキンヘッドの男に向かって叫ぶ。
スッカ・バームド(40)。
トマルフ所属人型機動兵器部隊【カオス】率いる部隊長。
「ちいっ!!そうだよ……サタン商会が黒か白かなんて関係ねぇ。【ウルフズ】が独断で暴走してハムレットを攻撃し、俺達は正義の為にてめえらを粛清する。……そう言う筋書きだったのさ」
舌打ちしてスッカが答えると、腰巾着のように側に居た男が指笛吹いた。
ワッカ・バームド(35)。スッカの弟で同じく【カオス】部隊の隊員。
すると、路地に潜んでいた男達が銃を構えてビリアームズ達に突き付けた。
「っ!?別働隊まで潜ませていたのか!?」
「っ!!」
リムトが叫び、トワがビリアームズを守るように背に庇うが……
「ハムレットごと【マジェスタ】と同じように破壊しちまえば何も証拠は残らねえよ。一足早くあの世に行ってな」
スッカの合図で、ビリアームズ達は銃で射殺された。
「行くぞ、お前ら」
赤い血の海が広がる中、スッカ達は合流するべく、北7番港へと向かうのだった。