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隕鉄級依頼

 冒険者ギルドの受付嬢であるスレンダー美女の話を要約すると、ゴブリンロードが一体だった場合は、リーダーを失ったこのエリアのゴブリン共が”集団大暴走”を起こす可能性がある。スタンピードは大抵、人間の町を襲いながら進行するのだとか。


 もしくは、ゴブリンロードは別のゴブリンロードと覇権を争っていることがあり、候補がいなくなることでもう一方が無条件で当選し”ゴブリンキング”として成り上がる可能性が高い、ということらしい。


(僕の知識ではゴブリンキングは終盤の雑魚という印象なのだが。この地域の強い人が倒してくれないだろうか……?)


「ゴブリンキングというのは、それほど驚異的なモンスターなのでしょうか?」


「ええ……残念だけど、強いのよ。最低でも隕鉄級の冒険者でなければ苦しいでしょうね。でもそれだけじゃなくって、通常のゴブリンはホブゴブリンへ、その中でも選りすぐりが、王の祝福によってかなり凶悪で強靭に進化してしまうとか――」


(どうしよう、なんで露骨にこの異世界は序盤から強めのモンスターにエンカウントさせようとするんでしょう……)


「そりゃあ、本当か!?」


 話を聞いたのか大声を出しながら二階からギルマスが降りてくる。


「なんだぁ? さっきのガキか。ゴブリンロードまで倒しちまうってのは、やっぱり俺の目に狂いはなかったか。がははははは!」


 ギルマスは自画自賛して大笑いしている。


「ちょっと、マスター。笑い事じゃあありませんよっ! 今この街には冒険者が少ないんです。最近のギルド事情は知っているでしょう!」


「ううむ」


 どうやら最近はモンスターの動きが活発、且つその地域で今まで発生しなかったような強力な者まで現れるという。


「それで、ロードを倒したのは、いつだ?」


「たしか、五、六日前だったと思います」


「ふむ。なら、あと二、三日すりゃあ兆候が表れるんじゃあねえか。スタンピードなら、鳥や動物が騒ぎ出す。キングご生誕なら王への貢モンにするため、各地でゴブリンが統率を持って家畜なんかが盗まれたりするだろう」


「おい、セラ。灰銀が何組かこの地区で活動していただろう。最低でも四組か五組ほど召集しろ、多けりゃ多いほどいい……三日以内だ。隕鉄はいたか?」


 スレンダーのお姉さんはセラという名前らしい。


「また、強引な……灰銀は三組なら間に合うと思います。あ、でもちょうどおバカパーティーがさっきまで酒盛りしていたので繋いでおきます、これで四組です。隕鉄は……だめですね。隕鉄級はかなり遠くまで討伐に出ています」


「あー、それだけの戦力じゃちとキツいかもな……」


(かなり大事になりそうだ。足手まといにならないよう早めにこの街を出るか。自分の階級より強い人たちでも死ぬかもしれないってのに太刀打ちできそうにない)


「それでは、僕たちは足手まといになりそうなので――」


「――手伝いますっ!」


(ッオィイイ! 目ん玉飛び出すかと思った、言うと思ったよ! ユーミったらほんと優しくていい子!)


「ほう……ガキども。ロードを倒して調子に乗ってやがるな? 言っとくが、キングの祝福を受けたゴブリンは下位でさえロードの比じゃねえぞ?……まあいい。命知らずは嫌いじゃあねえ! がははははは!」


 豪快に笑ってくれる。


(誰が命知らずだ! めちゃくちゃ大事にしてんだよ!)


「しっかし隕鉄級がいねえとなると、苦しいかもなァ……おい、パティエナ。おめえ、でれるか?」


 だれかギルドマスターほどのものが信頼する強者がいるのか、と思いギルマスの目線の先を見ると、冒険者登録で世話になったセクシーな受付嬢がいた。


 露骨に嫌そうな顔。

 もはや苦虫そのもののような顔でこちらを見ている。


「え? ええ。…え? わかりました。仕方がありませんもの、ね。ええ……」


「嫌そうに言うんじゃねえ。ボーナスをくれてやる。ま、スタンピードだったらこの人数じゃ町は半壊しちまうぞ? 仕事場がなくなったら給料もでねえかもなあ! がはははは!」


 ギルマスが頼りにしてるってことは、このお姉さん、かなり強者なのだろうか。

 それにしても町が半壊するかも、などという割に愉快そうに笑っている。


 (このでっかい人もサイコ野郎なのだろうか……)


「そぃじゃあ、パーティが集まったら作戦会議だ、ここに集めろ。おいガキども。おめえらは明日、俺と一緒にこい。ロードのいた場所の下見だ」


「それじゃ、私は鷹と早馬を飛ばして灰銀たちを招集します。長引きそうなら少し遠くても応援を呼ばないと危険です――」


「――なに、すかしてやがる。セラ、おめえもこっちのパーティーだ。スタンピードが起きたらおめえが来ねえでどうしろってんだ」


 ギルマスがセラも強制参加だと伝えると、鬼のような顔で睨みながらも渋々、承諾の返事をする。


「今日はゆっくり休め、宿は俺がおごってやる。あ、そうそう。俺の名はガラルドだ、宜しくな」



***



 こうして強制イベント

 ”スタンピードからの防衛”

 あるいは

 ”ゴブリンキングの討伐”

 が発生した。


 難易度は隕鉄級。二階級も上だ。

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