第四話 犬山課長
犬山「草壁くん、ちょっといいかな?」
草壁「例の件ならもう片付いたんじゃないですか?これ以上、うちが出来る事はないですし」
犬山「うん。いや、それとはまた別の件なんだけどね?」
草壁「勘弁してくださいよ。今、色々抱えてるので他をあたってもらえません?」
犬山「それがね、伊達&富澤コンビのほうも出払っちゃってるもんで。それで今、頼めそうなのが君しかいなくてさ」
草壁「自分もちょうど今から出払うとこなんで」
犬山「まぁまぁ、そう言わずに話だけでもね。これちょっと見てもらえるかな?」
犬山はそう言って資料を手渡した。草壁はそれを読みながら
草壁「これ、元々うちの案件じゃないでしょ?」
犬山「バレた?(笑)いや、まぁ頼まれちゃってね。うちとも多少被るとこあるからって」
草壁「また安請け合いしたんでしょ?(笑)駄目ですよ、ただでさえコッチも人手が足りてないのに」
犬山「その前任者がね、しばらく使いものにならなくなっちゃったみたいで。催眠術にかかっちゃったみたい(笑)」
草壁「この担当者名、見覚えありますよ。休憩室でちょこちょこ会話したことあるくらいですけど」
犬山「なら全然知らない間柄でもないんでしょ?彼ね、今けっこう大変な状態なのよ。カウンセラーがつきっきりで対処してるんだけどさ。頼めないかなぁ」
犬山は草壁の肩を軽く揉んだ。
草壁「課長、それセクハラですよ?今は男女限らずボディタッチとか即アウトなんで。自分じゃなかったら訴えられてるとこですよ?」
犬山「あ、そうなの?ごめん次からは気をつける」
草壁はパラパラと資料をめぐりながら返答を考えていた。野沢はそのやり取りを聞きながら吹き出しそうになっていた。
草壁「催眠セラピスト【吉乃】。つまりこの人、本物ってことですよね?」
犬山「やっぱりそうなるよね。だから被害が出ないうちにといっても、もう遅いんだけど。なるべくこれ以上、騒ぎにならないようなんとかしないとね」
草壁「わかりましたよ。タマちゃん、今回はお留守番ね。物欲しそうな顔してるとこ悪いんだけど」
野沢「してません、草壁さんお一人でどうぞ。それとも一人でやりたそうな顔してるけど、なにか理由あるんですか?」
草壁「別にないよ」とそっけなく答え資料を隠そうとする。野沢は草壁のほうへ近づき資料を覗き込んだ。
野沢「へーやっぱり。その【吉乃】って美魔女、インフルエンサーですよ。と言っても私のオススメには出て来たことないですけどね。急に変なやる気を出したかと思えばそういうことですか(笑)」
草壁「違う、缶コーヒーを奢ってもらったことのある顔見知りのためだ」
野沢「ちなみにその写真、ガッツリ加工ですからね。会ってガッカリしたからって途中放棄とかしないでくださいよ(アッハッハ笑)」
犬山「くれぐれも放棄しないでくださいよ?じゃあ任せましたからね♪」
草壁「、、、」
第四話(終)