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鬼切怪奇譚  作者: 藤崎要
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第二十八話 宝刀 鬼切丸



 草壁と遠藤は鬼切神社の本殿に居た。


草壁「総代からの呼び出しってなんでしょうかね?」


遠藤「さぁ、俺も久しぶりに会うからわかんない」


草壁「スマホ、一応切っといたほうが良さそうですよね。あ〜、こんな時に」


遠藤「彼女?いいよ、かけてあげなよ」


草壁「違います(キッパリ)急用って言っても、たぶんたいしたことないですから(笑)」


遠藤「安心しきって冷たくしてると後悔するよ?」


草壁「だから違いますって(笑)」


 そんなやり取りをしていると、総代が長い箱を両腕に抱えて部屋へと入ってきました。


総代「大丈夫、見た目ほど重くはないので。うんしょ」


 その白漆塗りの箱を総代は二人の前に置くと結び目をほどき、箱を開けて中の物を見せたのでした。


総代「お二人とも初めてご覧になられると思いますが、これが【宝刀 鬼切丸】です」


 草壁と遠藤は突然のことに驚きを隠せなかった。


遠藤「何故、これを私達に?」


総代「話せば長くなるし噛むと思うので手短に話しますが。私にこれからもし万が一の事があれば、お二人にこれをお願いしたいと思いまして」


草壁「総代に万が一の事って、どういうことですか?それに遠藤さんはともかく自分は、、、」


総代「今は詳しく話せません。ですが事は一刻を争うもので、私はしばらく出かけなくてはなりません。そこで、お二人なら任せられると思ってのことです」


 二人が沈黙していると、草壁は肩に誰かが手を置く気配を感じた。その手は温かく草壁には心当たりがありました。

 

荻田 (よう、元気そうじゃないか。っても俺の姿は見えないだろうからそのまま黙って俺の話しを聞いてくれよ)


草壁 (荻田さん、、、俺)


荻田 (わかってるよ、お前も魂半分持ってかれちまったんだってな。この世ってのは良くも悪くも避けて通れない宿命を背負ってるもんなんだよ。出会いもあれば別れもある、その選択を迫られるのもまた現世というわけだ。なぁ、お前にはあの刀が何色に見えるんだ?)


 草壁が目を凝らして刀を見つめる。


草壁 (青ですね)


荻田 (そうか良かったな♪俺はアレが白く見えてたんだ。つまりそういう事だから

、お前は気にすんなってことだよ。じゃあ総代のこと、刀のことくれぐれも頼んだからな。心配するな、俺たちはいつもこうしてお前らのそばにいるからよ)


総代「だそうです♪」


草壁「え?」


遠藤「私には【緑】に見えますが」


総代「なら問題ないでしょう。私にはこれが【赤】に見えるんです。それぞれ色の見え方によって現世の宿命を映し出すと言われております、そしてそれを切り開くのも鬼切の定めということ」


遠藤「わかりました。総代のお考えに従います」


 そして。


草壁「結局何もわからないまま引き受けてしまいましたね」


遠藤「俺達に断る理由なんてないからな。覚悟を決めてこの仕事をやってるんだし」


草壁「そうですけど、務まるかどうか」


遠藤「信頼されてなきゃ任されることも無いわけだしね(笑)総代のことだから、何も無かったかのようにまたひょっこり帰って来るだろうよ。あの人は常に先の先が見えてるから」


草壁「そうですね(笑)」


 第二十八話(終)

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