表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
鬼切怪奇譚  作者: 藤崎要
22/36

第二十ニ話 鳩



福島「遠藤刑事。一昨日、ホンモノに会ってたよね?」


遠藤「ええ、福島本部長。ホンモノ、いや森野くんとは偶然に駅で会いました」


福島「そう。それで彼から何かを預かったと思うんだけど?」


福島はそう言って遠藤に渡すよう、手を差し出した。遠藤はカバンからファイルを取り出し福島に渡した。


福島「こちらで預かるから」


遠藤「森野を利用したんですか?」


福島「何のことかわからないけれど、君がコレを持っていても意味ないからね」


福島はそう言ってファイルを受け取るとその場を後にした。


 遠藤は森野からファイルを受け取った時にこう言われていた。


遠藤「これ、青文字と黒文字にわけてる意味って?」


森野「ええ、察しのとおり虚実混交です(笑)おそらくというか十中八九、ソレは回収されると思います。でも遠藤さんなら、その青文字部分を記憶することができるとおもって。読んだら車中にでも放置しておいてください、この暑さならちょうど良い仕上がりになりますよ」


と。遠藤と森野(ホンモノ)が出会ったのは、裁判後再び森野に殺人事件の容疑がかかった時のことである。



 【以下、回想】


遠藤「ちょっと横に座ってもいいかな?」


 青年は公園のベンチで鳩に餌をあげていた。


青年「あなたは刑事さんですか?」


遠藤「ええ。ところでキミ、確か潔癖症だったんじゃなかったっけ?鳩は大丈夫なの?」


青年「よくご存知ですね。動物は心が綺麗だから」


遠藤「そう。前回、キミの家の家宅捜索をしたとき指紋が綺麗に拭き取られていた。潔癖症なんだってね?。なのにそのキミが犯行現場にわざわざ指紋を残してたのがひっかかってね」


青年「僕を取り調べた方達もひっかかる所があれば良かったんですけどね。でも、おかげで僕には犯人がわかってました」


遠藤「なぜソレを警察で言わなかったの?」


青年「身に覚えがないことをいくら思い出すように言われても覚えてるわけがないじゃないですか。それに真犯人を捕まえたかったし(笑)刑事さんが僕に会いに来たということは、また事件でも起こしたんですか?僕か、僕以外の誰かが?」


 青年はそう言って、遠藤に手のひらを見せた。彼の手には指紋が無かった。


青年「ある場所に立ち寄った後、すぐに薬液で指紋を消したんですよ。だから僕の指紋がその後に起きた事件現場にあるわけがないですよね」


遠藤「ご協力ありがとうございます」


 【以上】


 そして連続猟奇殺人事件の犯人は逮捕された。ホンモノが通院していた心療内科医による犯行であった。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ