表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
鬼切怪奇譚  作者: 藤崎要
15/36

第十五話 解呪



犬山「野沢くん、お休みが一週間の有給に切り替わったそうです。さっき経理から連絡がありました」


草壁「へぇ、だいぶ調子悪いんですか?」


犬山「お見舞いにいって仲直りしてみたらどうです?」


草壁「それ、今の時代下手をしなくても捕まりますよ。ミマイハラスメント?ストーカー?タマちゃんの家、交番みたいなもんだし(笑)」


犬山「いや、ほかでもないその野沢くんのお父さんが草壁くんに来て貰いたいそうなんです」


草壁「はぁ!?」



 そして野沢家へ。


野沢父「今日はお忙しい所、すみません。玉磨(たま)の様子がなんというか、、、。遠藤刑事から草壁さんのことを聞きまして」


草壁「あー、そういう事ですか。ところで、玉磨さんは今お部屋に?」


野沢父「はい、こちらへどうぞ」


 部屋を開けるとベッドで横たわる野沢の姿が。


野沢父「病院にも連れて行って薬を飲ませてはいるんですが、ずっとこの調子で寝たきりの状態なんです」


草壁「呑気に眠って、、、。いや、少しうなされてるみたいですね」


 草壁はそういうと部屋の中を見渡し机の上に置いてあったモノを見つけるとソレをハンカチで包み野沢の父に見せました。


草壁「おそらく原因はコレだと思われます。何かを調べようとしてたんでしょうが、いずれにせよ此処に置いておくのはよくないので自分が預からせていただいてよろしいですか?」


野沢父「ええ、どうぞお願いします」


草壁「で、問題はここからなんですが。呪いというのは簡単に祓えるものじゃなくて、もつれた【あやとりの糸】のようなものが身体に纏わりついて絡んでるんですよ。それが生きてるように動いてるもので」


野沢パパ「あの、呪いなんですか?」


草壁「ええ、お父さんには視えませんよね。でも自分には今、玉磨さんがどうなってるのかわかります」


 草壁から視える野沢の身体には、蠢く糸が絡みあい纏わりついているような状態であった。


 【呪いとは?】


生きた糸のように視えると例えられることがある。それ自体が、もつれるように纏わりつき呪われた者の因果や業という糸とまた絡みあうことで様々な悪影響を体調などにもたらすものである。


 【以上】


野沢父「娘は助かりますか?」


草壁「最善を尽くします、いや必ず助けますよ」


 草壁は上着を脱ぐとシャツの腕をまくり作業に取りかかりました。野沢の父は草壁から指示があればその都度、娘の身体を横にしたり仰向けに動かしたりした。数時間の作業の間、草壁は手を何度か洗いに行ったりトイレで吐いたり、野沢母が差し入れた麦茶を飲んだりして休憩を挟みながら黙々と手を動かしていました。


草壁「終わりました。あとは本人が目を覚ますのを祈るだけです」


 草壁が帰ったあと、しばらくして野沢本人とその父親から連絡がありました。


野沢「すみません。助けていただいたそうで、、、。父からもお礼を」


草壁「まぁ無事でなによりってことで♪でもまだ病み上がりだから無理しないで有給は使っておきなよ(笑)そうそう、変な夢とか見なかった?」


野沢「それがけっこう長い夢を見ていたような気がするんですけど、よく覚えてなくて。でも普段湧いたことがないような怒りというか悲しみを吐き出しきった感じです、今は」


草壁「そう、ならもう大丈夫だと思うよ♪」


野沢「すみません、もう二度と勝手なことはしません」


草壁「うん、わかってるならいいよ♪コレ、俺が預かってるレプリカのことなんだけど本物だったらキミは今頃、助かってなかったかもしれない。呪いと祟はまた別物だからね。俺にも出来ることと出来ないことはあるからさ。今回、タマちゃんの感受性の強さが災いしたというのもあるけど、そのおかげで対処が早かったというのもある。そこは運が良かったとおもってね♪あとタマちゃん自身の因果が薄かったというのも幸いだったよ」


野沢「ちょっと、何言ってるかよくわからないですが(笑)おかげで本当にありがとうございました♪」


草壁「そっか、まぁそうだろうね(笑)じゃあ♪」


第十五話(終)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ