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鬼切怪奇譚  作者: 藤崎要
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第十三話 呪詛

野沢「草壁さん、ちょっとコレを見てくださいよ」


草壁「どしたの、タマちゃん?」


野沢「これ、例の黄泉銭ってやつじゃないですか。販売してるサイトを見つけたんです」


 どこかのサイトをプリントアウトしたものを手に見せる野沢。


草壁「あー、それね。他にも調べたらゴロゴロでてきたよ」


野沢「なんだ、既に知ってたんですか」


草壁「鼻息荒くしてて草だね(笑)」


野沢「そんな言い方しなくても。私なりに何かお手伝いができるかもって思って」


草壁「なんの?」


野沢「いや、私たちの仕事じゃないんですか?」


草壁「そんなこと一言も言ってないよ(笑)保管はしてるけどね。研修もそのつもりでだし」


野沢「でも現に被害者がいるわけで」


草壁「それはそういうので呪われる人のこと?それとも効果が出なくて騙されて買わされた人のこと?どちらにしろ、ソレを取り締まる立場でも無ければ裁く立場にもない俺たちにできることなんてないよ。警察もそこらへんある程度調べはついてるんだろうけど被害届が出ないことには動けないわけだし、どういう犯罪にあたるかすら微妙なとこだもん」


野沢「ドライですね」


草壁「あくまで職務だからね(笑)第一、キリがないでしょ?そういう人らがたくさんいる世の中なんだなぁって思うことくらいしかできないわけだし」


野沢「嫌な世の中ですよ」


草壁「ま、昔から藁人形とかもあってそこらへん人間てのはいつの世も変わらないもんなんだけど、時代の変化とともにより何か新しいものを求めるようになっていくのよ。新商品を求める心理を利用するものもいれば目新しさに効果を期待して買うのと大差はないんだよ。ただ扱ってるモノが生活用品か呪いの道具かではかなり違うけどね(笑)」


野沢「どんな喩えですかそれ(笑)」


草壁「タマちゃん、トロッコ問題って心理実験を知ってる?どちらかを選ぶとどちらかが死ぬジレンマをどうするか自分に選択する余地があるやつ。どちらかと言えばアレに近いかもね」


野沢「草壁さんならどうします?」


草壁「俺はそこにいなかったものとする(笑)いや、アレはどうするか?を考えさせることが趣旨であって完璧な答えを求められてるわけじゃないから考えるだけ無駄というか。その場に実際いないと、まして本当にその通りに実行するとも限らないでしょ?」


野沢「じゃあ私もそこにいなくて良かった、ですよ」


草壁「今回の件はたとえ事件として解決したところで誰も良かったねとはならないし、無関係の俺たちはむしろ余計なお世話でしかないような話。社会問題として取り上げられて、またそれを業務として与えられたら我々は粛々とその任務をこなすだけだよ」


野沢「わかりました。では定時なので私、先に帰らせていただきます」


 野沢が出ていくと犬山課長が


犬山「あれで良かったんですかね。顔が少々怒ってたみたいですけど」


草壁「仕方ないですよ。まだこの仕事が一歩間違うと命に関わるって認識が薄いみたいですから(笑)たとえ任務であっても、命まで引き換えにするわけにはいかない。それをまた理解できていないようなのを相手にすることもあるわけだし。あの様子では、それだけのリスクを抱えさせるわけにはまだまだいきませんよ♪」



第十三話(終)

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