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鬼切怪奇譚  作者: 藤崎要
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第十話 廃病院管理棟の怪 (前編)



草壁「着いたよ」


野沢「ここって確か統廃合が決まった病院ですよね?」


草壁「そう。移転準備中で、ご覧の通り今はもうやってはないけどね。すでに病棟とかは解体されてて、来月の頭にはこちらの残りも取り壊しに入るみたいよ」


野沢「なら、もうそのまま取り壊されるのを待ったほうが良いんじゃないですか?」


草壁「怖気づいた?(笑)でも、それでは遅いんだよね」


野沢「草壁さんの件を知ってたら誰でも怖気づきますよ。というか、体のほうは大丈夫なんですか?」


草壁「むしろこの方がちょうど良いかもしれない(笑)」


野沢「それでは遅いとか、この方がちょうど良いとか、ちょっと何言ってるかわかんないですけど」


 そして。


草壁「一応これで準備はできたから、今晩もう一度ここへ来るよ」


野沢「え、ほんとですかソレ?何も起きなくてホッとしてたんですけど」


草壁「あとは車の中で前回、俺に起きたことも含めて話しておくから」



【以下、草壁の説明】


 移転準備中の廃病院で夜間警備員が巡回中、何者かに襲われるという事件が複数回発生する。捜査機関も入る中、被害にあった警備員らの証言はいずれも「影に襲われた」とのこと。草壁の担当部署にも連絡が入り単独で調査に向かった所、警備員と同様に【影】に襲われたと。


【説明(終)】


 そして、その晩。


草壁「着いたよ。車の中で話した通りなんだけど、なにかあったらいけないから俺から離れないでね。あとコレ、懐中電灯」


野沢「あの、草壁さんを信用してないわけではないんですけど。私、親が警察官なの知ってますよね?」


草壁「大丈夫。タマちゃん、俺のタイプじゃないから(笑)」


野沢「そうですか、私もなんですよ♪なら、お互い安心ですね」


 そして。


草壁「いるみたいだ。良かったね、明日も来なくて済んで。とりあえず入る前に線香だけでも焚いておくか。タマちゃんも手を合わせときな、無事に帰れますようにって」


野沢「どういう意味で?、、、」


 ドアを明け中に入る草壁と野沢。草壁は懐中電灯を照らしながら中の様子を伺いつつ進み、野沢は離れないようその後をついていく。


1階、2階と進み、例の3階へと続く階段を登る。そして突き当りの廊下を曲がる時


野沢「草壁さん、今何か前を横切りませんでした?」


草壁「そうだね」


野沢「アレが例の影ですか?」


草壁「うん、気をつけて」


 草壁は左手で野沢に止まるよう合図した。


 コツ。


 草壁は後ろを振り返り、辺りを照らす。誰もいない。


野沢「ゴク」


 草壁はまた前を向き懐中電灯を照らし様子を伺う。そしてまた横切る人影。


野沢「今のは見間違いじゃなく、確実に私たち以外に誰かいますよね」


草壁「あぁ」


 その時、草壁は野沢を抱き寄せると後ろを振り向き何かを避けた。野沢が先程いた場所に振り下ろされたソレはカツーンと金属音をたてて床に音を響かせた。


草壁「同じ手はくらわないよ」


 草壁はそういうと電灯のスイッチを押した。フロアの明かりが一斉に点灯し相手の姿をうつした。


草壁「昼間来た時に電気を通しといたんですよ。あなたが犯人ですよね?元事務長」


元事務長「私は、、、たまたま来たら不審者が入っていくのを見たので」


草壁「それでもさすがにソレは正当防衛にならないでしょう」


 草壁の指差す元事務長の手には鉄パイプのようなものが握られていた。元事務長は再びソレを振り上げようとした。


草壁「もう全て終わりなんですよ。だからそれ以上、罪を重ねないで。今頃、家宅捜索を終えて、こちらに警察も着いてる頃ですからもう逃げられません」


 元事務長は観念したのか大人しくなった。そして到着地した警官らにそのまま連れて行かれたのでした。


第十話(終)

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