この作品を出版したい!
予告サブタイトルを変更しました。ただし内容は予定通りです。
前回は少し思わせぶりなヒキで終わらせましたが、その話題を続ける前に、少々長い前置きを。
正確な時期は覚えていませんが、「第9回ネット小説大賞」の最終結果発表つまり「第10回ネット小説大賞」の告知より、少し前だったと思います。
他サイトのコンテスト告知で、面白そうなものがありました。
11月1日より始まるコンテストの予告で、出版社としては宝島社の文庫レーベルが関わるものです。レーベルの説明には『恋愛、ミステリーのほか、グルメ小説やお仕事小説といったキャラクター文芸など』と書かれており、「選考において注視するポイント」として推奨キーワードの中に『犯罪』もありました。
『ミステリー』と『犯罪』。推理小説にはピッタリなコンテストですね!
ただし推奨キーワードの『犯罪』の隣には『警察』も並んでいます。そこだけ見ると、ミステリ小説の中でも現実的な社会派ミステリが求められているのでしょうか。
私の長編推理小説の作風は、ジョン・ディクスン・カー、横溝正史、江戸川乱歩あたりの影響を受けており、社会派というより伝奇路線の本格ミステリだと自分では認識しています。その意味では、向いていない気もしますが……。
せっかく推理小説が受け入れられそうなコンテストです。出すだけは出してみましょう!
告知を見た瞬間、そんなことを考えていました。
前回「一次通過だけでも嬉しいけれど」の中で記したように、私は書籍化作家になることを目指しているのではなく、夢見ている人間です。そのレベルの「書籍化デビューしたい」という方々は、おそらく「小説家になろう」ユーザーの中にもたくさんおられるだろう、と想像しています。
ただし「どんな作品でも構わないからデビューしたい」という気持ちは、あまり強くありません。その点、他の大勢の方々とは少し違うかもしれない、と考えてしまいます。
もちろん、どのような形だとしてもデビューできたらそれはそれで嬉しいでしょうし、その場合はデビュー作に対する思い入れも強くなるはず。だからデビューを夢見て、どんどん新作も書くつもりですが……。
私が最も望んでいるのは、新作ではなく、現時点で思い入れのある既存作を出版すること。「自分が書籍化作家になりたい」というより「あの作品を書籍にしたい、本屋で売ってもらいたい」みたいな気持ちですね。
この二つ、似ているようで微妙に違うのではないでしょうか。
現時点で私の「小説家になろう」投稿数は180作品ですが、その中で「是非この作品を出版したい!」というほど思い入れが強いのは2作品。
『「ウイルスって何ですか?」――ウイルス研究者の異世界冒険記――』と『緋蒼村連続殺人 ――転生したら殺人事件の真っ只中――』です。
前者は、異世界転生ファンタジーですが、海外生活や研究者だった頃の経験を組み込んで書いており、まさに自分自身を反映させた作品。自分にしか書けないオリジナリティーを誇るだけでなく、自分の半生の証として広く世に知らしめたい、という気持ちがあります。
残念ながら「小説家になろう」では『この連載小説は未完結のまま約1年以上の間、更新されていません。今後、次話投稿されない可能性が極めて高いです。予めご了承下さい』と表示されており、傍から見れば「エタっている」と思われそうですが……。
頭の中には続きの構想もありますし、特に第3章ラストと第4章スタートの場面は、早く書きたくてウズウズしています。メタ的には第3章ラスボス戦を想定した上で、第3章からパーティーの人数を6人に増やしたのですからね!
でも現在の私は、別サイトで商業連載中の作品を抱えており、そちらも異世界ファンタジーの冒険小説です。それぞれ別々の世界観でファンタジー冒険バトルを並行して書くのは、思った以上に難しいことでした。
別サイトで連載している異世界ファンタジーは、紙媒体とは違うけれど一応は商業作品なので、担当様やイラストレーター様も関わる作品です。買ってくださる読者の方々のためにも、絶対に無責任なことは出来ません。
商業連載に集中する意味で、それが終わるまで『ウイルスって何ですか?』は封印。「気分転換のつもりで並行して別作品を書くとしても、なるべくファンタジー以外。やむを得ずファンタジーになる場合、少なくとも冒険バトルもの以外」と考えています。
後者の『緋蒼村連続殺人』は、私の人生経験を活かした作品ではありません。
10代の頃に考えたトリックやプロットに基づいて、大人になってから書いた推理小説ですが、10代の頃といえば、私の人生の中で最も読書量が多かった時代です。小説家への憧れも今より強い時期でした。
正直なところ、推理小説として『緋蒼村連続殺人』以上の作品を書く自信は全くありません。他人には「この程度の作品が?」と思われるかもしれませんが、少なくとも私の中では最高傑作です! だから是非この作品を出版したいのです!
幸いなことに、コンテストに応募しても必ず最初の段階で落選する『ウイルスって何ですか?』とは異なり、『緋蒼村連続殺人』の方は、これまで3回応募したネット小説大賞にて毎回一次選考を通過。他サイトでは三次選考まで通過したコンテストもありました。
だから少しは評価されている、と思えるのですが……。
あくまでも『少し』なのですよね。「一次通過だけでも嬉しい」という立場から見れば十分な結果ですが、「この作品を出版したい」という気持ちになってみると、これでは全く不十分です。
それでも。
推理小説が受け入れられそうなコンテストがあるならば、これは良い機会です。応募しなければ受賞の可能性はゼロですが、応募しておけば一応ゼロではなくなりますからね。
また「一次通過だけでも嬉しい」という立場から見ても、今までとは違うコンテストで一次通過できるかどうか、その点も興味あります。
そんなわけで、上述のコンテストには『緋蒼村連続殺人』を応募するつもりでいました。特に、応募締切が1月末、中間発表が4月予定と書かれています。そちらの告知を見た段階では、まだ「第10回ネット小説大賞」について告知されていなかったので、そちらで落選してからでもネット小説大賞に間に合うだろう、と考えていました。
ところが!
今年のネット小説大賞は12月上旬スタート!
こうなると、もう上記コンテストに落選してからではネット小説大賞に間に合いません。ネット小説大賞の応募期間は、前回がちょうど3ヶ月、その前の2回はどちらも3ヶ月プラス1週間くらいでした。だから今回も3月のうちに終わってしまうでしょう。
なお、上述のコンテストは重複応募不可となっています。たとえネット小説大賞の方で重複応募を許可されても、『緋蒼村連続殺人』を出せるのは片方のみ。
さあ、どうしましょう?
というところで。
ようやく前回のラストに書いた話に戻ります。
> これは、私のようにラノベ以外を多く書いている書き手には、とても希望に繋がる話です。私は実力的には一次通過止まりですが、少なくとも作品ジャンル的には受賞の可能性もゼロではない、と思えるわけです。
> ならば、もう一点。ネット小説大賞は複数の出版社が参加するコンテストですし、そうした作品を採用してくださる出版社はどこなのか。それも確認しておきましょう。
> しかし、具体的な出版社名を目にした途端「あれ? もしかして……」と一抹の不安も出てきて……。
前回のネット小説大賞の結果発表ページで確認した、低ポイント文芸路線でも採用してくださる出版社。それは、2作品とも宝島社でした。
真剣にプロ作家を目指して努力しておられる方々は、出版社それぞれの印刷部数、販路、続刊状況なども比較検討。「どのレーベルから出版するべきか」「出版の声がかかっても断るべきレーベルはどこか」と今のうちから考えているそうですね。
そこまで思い描くのは、私には遠い遠い世界であり、具体的な出版社名を見てもピンときません。
でも『宝島社』という言葉は例外です。ほら、ちょうど他サイトで応募しようと思っていたコンテストのレーベルですから。
しかも、ちょうどネット小説大賞と重なる時期!
わざわざ同じ時期に他サイトでコンテストを開くぐらいですから、もしかすると宝島社は「小説家になろう」を見限って、今年のネット小説大賞には参加しないつもりなのでしょうか?
あるいは、宝島社の中でも複数のレーベルがあるうち、文庫レーベルだけが他サイトのコンテストの方、残りはネット小説大賞の方に関わるのでしょうか?
どちらにせよ「『恋愛、ミステリーのほか、グルメ小説やお仕事小説といったキャラクター文芸など』は、ネット小説大賞ではなく、他サイトのコンテストの方で採用するのではないか」と想像してしまいました。
そうなると、ネット小説大賞に応募しても受賞の可能性はゼロです。下手をすると「どうせ受賞枠がないから」という理由で、低ポイント文芸路線は一次選考からバッサリ切られる可能性も高くなるかも。まあ「切られる」というほどではなくても、今までより不利になるかもしれません。
あくまでも、最悪の可能性という想像に過ぎないのですけどね。
でも、少しでも出版を夢見るのであれば、『緋蒼村連続殺人』はネット小説大賞ではなく宝島社のコンテストに応募するべきではないか、と思い始めました。
私の中にある「一次通過だけでも嬉しい」という気持ちと「この作品を出版したい」という気持ち。どちらを優先するのか、という問題です。
前者優先ならば、これまで参加したネット小説大賞で毎回一次通過している作品は今年も応募するべきです。なにしろ『毎回』ですからね。今年も一次通過できる確率は高いのではないでしょうか。
でも少しでも受賞を考えるのであれば、毎回二次落ち作品です。むしろ一次落ちを続けた作品の方が「今までは二次の選考委員に読んでもらえなかっただけ。読んでもらえれば評価されるかも」ということで、かえって期待できるかもしれません。
そんなわけで。
今のところ、今年のネット小説大賞に『緋蒼村連続殺人』は応募せず、それは他サイトで同時期に開催される宝島社のコンテストの方に出そう、と考えています(現在はさらに別のコンテストに応募中で、近々落選確定するはずなので、あくまでも予定です)。
本来の「一次通過だけでも嬉しい」から見れば、毎回一次通過してきた小説を応募しないというのは、大きな英断です。前回の記事タイトル「一次通過だけでも嬉しいけれど」と関連して「この作品を出版したい」という気持ちが強くなってきた証でしょうか。
もちろん「一次通過だけでも嬉しい」という気持ちも依然として残っています。そちらは、今回は『緋蒼村連続殺人』以外の作品に託します。
今回もたくさん応募するつもりですからね!