一次通過だけでも嬉しいけれど
本格的に今年のネット小説大賞が始まる前に、改めて少し自己紹介っぽい話です。
前々回の『「第10回ネット小説大賞」一次選考通過のために必要なこと(後編)』の中で、
> 実際、プロの小説家を目指すのではなく、趣味として執筆を楽しんでおられる方々もたくさんいますよね? だからといって「プロ作家になるのは嫌」というわけではなく、多少プロへの憧れはあるので「もしも小説出版や執筆仕事の話がくれば引き受けるだろう」という方々。
> そんな方々でも気軽に応募できるのが、ネット小説大賞というお祭りだと私は認識しています。
と書きましたが、私もその一人です。
プロフィールなどでは、書籍化作家になるのは現実性の乏しい話と考えて、「目指しています」ではなく「夢見ています」と書くようにしています。
だからネット小説大賞でも、いつも一次選考を通過するだけで大喜び。二次選考で落選することは、もちろん残念なことではありますが「これが現実」と簡単に受け入れられます。
受賞云々は私とは無縁の世界であり、いつも受賞作のチェックすらしないのですが……。
一次選考通過だけでも嬉しいけれど、もしも受賞できたらもっと嬉しいはず。せっかく応募するのだから、どんな作品が受賞するのか、少しはチェックしておいた方がいいかもしれない。
最近、そんなことを考えるようになりました。
一次通過できる作品を応募するのも大切だけれど、せっかくコンテストに参加するのだから、一次は通過できても絶対に受賞は不可能な作品ばかり出すのは勿体ない。一応は受賞の可能性を夢見られる作品かどうか、あらかじめ確認しておこう、という考え方ですね。
そんなわけで、「第9回ネット小説大賞」の最終結果ページを見てみました。
受賞作品がズラリと並んでいます。真面目に受賞狙いでコンテスト対策を立てるのであれば、それぞれの作品を読んでみるべきでしょうが、私はそこまで真剣ではありません。
とりあえずタイトルだけ眺めてみました。「いかにも今時の流行っぽい」と思えてしまうような、そんな作品ばかりのようです。
いわゆるなろう系と呼ばれる作品たちでしょうか。私には無縁な世界です。
まあ「なろう系」といっても、人によって定義はまちまち。例えば私は、冒険ファンタジーで言えば「チート・無双・ハーレム」がなろう系だと考えているのですが、あくまでも個人的な見解であり、これが一般的という自信はありませんし、後々私自身の考えも変わるかもしれません。
そもそも私自身、タイトルに「異世界」「転生」といった言葉を含めている作品があるのですよね。たとえチート・無双・ハーレムがなくても、そうした作品はなろう系の部類に入るのかもしれません。
思いっきり余談になりますし、ここで書くような話ではないかもしれませんが……。
紙媒体の出版はないため書籍化作家には相当しないものの、私は一応、商業作品に分類されるラノベを他サイトで連載しています。その件の声をかけていただいた経緯を思い出すと、当時の担当様からは「なろう系も書いている作家だから」ということで、執筆依頼をいただいたようでした。
どこぞの何かのリストに含まれていた私の作品が、作品タイトルの時点でなろう系とは大きくかけ離れており「何故このリストにこの作品が?」と興味を持たれて、だからこそ読んでいただけた。おかげで私という作家の存在を認識してもらえて、さらに私の他の作品も探して少し読んでくださったらしく、「あのリストには含まれていなかったけれど、なろう系も書いているじゃないか!」となったようです。
そういう事情でいただいた執筆依頼だったので、変身ヒーローものとして商業連載のプロットを立てる際、作品タイトルに「パーティー追放」というそれっぽい単語を含めたのですが……。当時の私は「追放ものは『ざまあ系』」ということすら知らなかったので、読者がタイトルから予想・期待するものとは大きく違う内容になったようです。元パーティーの面々と一時的に再会した時、主人公は普通に会話する展開になっており、作中で相棒からも「お人好しだなあ」と言われるほどです。そんな穏やかな性格の主人公が変身して強くなるのも変身ヒーローものの醍醐味だと私は思うのですけどね。
……と、思いっきり話が逸れてしまいましたが。
要するに私は「追放ものは『ざまあ系』」すら知らないほど流行に疎い作家であり、自分では「なろう系は書けない」と思っているけれど、見ようによっては「なろう系も書いている」となるような作家です。
そんな私なので、コンテストの結果発表ページで作品タイトルを見るだけで「私には無縁な世界!」と感じてしまうのでした。
普通のコンテストならば、そこで終わりかもしれません。しかし、そうならないのが、ネット小説大賞の素晴らしいところです。
第9回の受賞作品をタイトルだけ眺めると、私の目から見ても「これはなろう系じゃないよな?」と思えるものが、とりあえず2つ見つかったのです。
ラノベではなく、いわゆる文芸路線の作品でしょうか。
それぞれの作品評価も確認してみたのですが、私がチェックした時点で、56pt(ブックマーク11件)と102pt(ブックマーク21件)でした。
おお! ネット小説大賞の謳い文句の一つである「低ポイントでも受賞できます」が実証された形ですね!
なろう系ではない、文芸路線でも受賞できる。しかも低ポイントでも。
これは、私のようにラノベ以外を多く書いている書き手には、とても希望に繋がる話です。私は実力的には一次通過止まりですが、少なくとも作品ジャンル的には受賞の可能性もゼロではない、と思えるわけです。
ならば、もう一点。ネット小説大賞は複数の出版社が参加するコンテストですし、そうした作品を採用してくださる出版社はどこなのか。それも確認しておきましょう。
しかし、具体的な出版社名を目にした途端「あれ? もしかして……」と一抹の不安も出てきて……。
少し長くなってきましたし、私自身の「第10回には何を応募しようか」という話にも関わってくるので、ここで一旦区切りましょう。
次回「今回はどの作品を出そうかな?」に続きます!