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「第10回ネット小説大賞」一次選考通過のために必要なこと(後編)

   

 初めて応募した「第7回ネット小説大賞」の【一、二次選考通過作品総評】。

 2019年4月26日の記事でしたから、当日ではないにしろ、私が読んだのもそれくらいの時期だったはず。2018年9月から「小説家になろう」を使い始めた私にとって、まだ半年ちょっとの頃であり、右も左もわからぬ時期でした。

 だから当時の私から見たら、そこに書かれていたことは、遠い遠い世界の話のように思えて、なかなか頭に入ってきませんでしたが……。

 一次選考について触れられた箇所だけは、しっかり記憶に残りました。以下のように書かれていたのです。


> 二次選考についてですが、当コンテストは、『受賞=書籍化』という建付け上、作品としての面白さや斬新さとは別に『商業作品として成り立つか』という要素を外して考えることはできません。

> 面白い作品や構成がしっかりしている作品を選出した一次選考から二次選考に移る際は、加えて『商業作品となったときの魅力』という部分にも焦点を当てた選考となっていきます。


 感想サービスなどもあって、書籍化を目指さないアマチュア作家でも気軽に応募できるコンテストでしたが、それでもネット小説大賞が書籍化前提のコンテストであることくらい、私にも理解できていました。

 だから一文目に関しては、今さら言われるまでもありません。しかし私がハッとしたのは二文目です。

 まず『面白い作品や構成がしっかりしている作品を選出した一次選考』という言葉。「初めてコンテストの一次選考に通過した! 嬉しい!」と大喜びしていた私にしてみれば、一次選考に通過しただけで『面白い作品や構成がしっかりしている作品』と言っていただけるのは、とてもありがたい話です。WEBで小説を書き続けていく自信がつきますね。

 なお、当時は「『面白い作品』というのはわかりやすいけれど、『構成がしっかりしている作品』というのは何だろう?」とも思ったのですが……。

 もしかすると、前回の記事で述べた「完結作品の方が一次通過しやすい」という話。あれのことかもしれませんね。前回の「中編」では、完結が有利な理由として「物語をまとめる能力のアピール」と述べてしまいましたが、それとは別に、話の起承転結のような構成を示す意味でも、短く完結させた作品はうってつけなのでしょう。


 それは「今にして思えば」なので、当時の「自信がつきます」に話を戻します。

 精神的な「自信がつきます」よりも重要なのが、その直後の言葉でした。改めて部分的に引用しますが、


>一次選考から二次選考に移る際は、加えて『商業作品となったときの魅力』という部分にも焦点を当てた選考


 つまり『商業作品となったときの魅力』が問題になってくるのは、一次選考ではなく二次選考からなのですよ!

 逆に言えば、一次選考の段階では、商業的な価値は考慮せずに審査していただけるということです!

 もちろん「全く考慮せずに」ではなく「あまり考慮せずに」かもしれませんが……。

 それでも、それらとは無関係に評価していただけるのは、素晴らしいコンテストだと思いませんか?


 最初から「私は絶対にプロ作家を目指す!」と思って執筆しておられる方々には、わからない感覚かもしれません。特に今では「小説家になりたいから『小説家になろう』に投稿している」という方々も多いでしょうからね。

 しかし……。本当か嘘か知りませんが、どこかで「今でこそ『プロの小説家になろう』という意味で『小説家になろう』というサイト名を認識している者が多いけれど、元々はアマチュアがWEB投稿という形で『小説家』と同じように小説を披露して擬似的に『小説家』になれるから『小説家になろう』というサイト名だった」という主旨の話を読んだ覚えがあり、私は「なるほど!」と感銘を受けたことがあります。


 実際、プロの小説家を目指すのではなく、趣味として執筆を楽しんでおられる方々もたくさんいますよね? だからといって「プロ作家になるのは嫌」というわけではなく、多少プロへの憧れはあるので「もしも小説出版や執筆仕事の話がくれば引き受けるだろう」という方々。

 そんな方々でも気軽に応募できるのが、ネット小説大賞というお祭りだと私は認識しています。


 少し話が逸れてきたように思われるかもしれませんが、私が問題にしたいのは「どのような作品を執筆するか」という点です。

 自分が書きたい作品が、今時の流行に合致した売れそうな作品であるならば、何も考える必要はありません。それはとても幸せなことですね。

 問題は、両者が一致しない場合。真剣にプロの小説家を目指すのであれば「自分が書きたい作品」ではなく「売れそうな作品」を書くことになるのでしょう。

 しかし趣味で執筆をするのであれば、「売れそうな作品」ではなく「自分が書きたい作品」になるはず。趣味ですからね。自分が書いていて楽しいのが一番です。

 ただし、そうした作品は「売れそうな作品」ではないので、なかなか拾い上げなどの声もかからず、コンテストに応募しても受賞など無理なわけですが……。

 ここで、ネット小説大賞の一次選考と二次選考の違いです。ネット小説大賞の一次選考が、商業的な価値を考慮せずに審査していただけるのであれば、完全に趣味で書いている「『売れそうな作品』ではない作品」であっても、ある程度の面白ささえあれば、きちんと評価していただけるわけです!


 もしかしたら「一次選考なんだから、面白ければ通過できるのは当たり前じゃないか」と言われるかもしれませんし、最初は私も、この素晴らしさがよくわかっていなかったのですが……。

 いくつかのコンテストに応募してみると、これは決して『当たり前』ではない、とわかってきました。

 コンテストによっては、最初から主催者側の求めるジャンルや作風が決まっている場合もあるからです。たとえ応募要項的にはカテゴリーエラーにならずとも、「こんな作品は求めていない」ということで、一次選考の段階からガンガン落としてしまうコンテストもあるのです。

 そうしたコンテストでは、いくら面白い作品であっても、主催者側の思惑と合致しなければ、一次選考を通過することは出来ません。

 しかし、ネット小説大賞は違います。たとえ売れそうにない作品であっても、ただ面白くて構成がしっかりしていれば、それだけで一次選考は通過できるのです!


 要するに、一次選考通過のためには、面白い作品を書いて応募すればいいのです。


 ……と言ってしまうと身も蓋もありませんが、実際には、万人にとって「面白い」という作品は存在しないはず。どんな作品であれ、それを「面白くない」と思う人間が出てくるでしょう。

 そして、これだけ応募作品数の多いコンテストで、一次選考の段階から一つの作品を複数で読んでいただけるとは思えません。だから、作品を読んでくださった選考委員の「面白い」と一致しない限り、その「面白い」は認めてもらえないわけです。

 選考委員との巡り合わせですね。そこは運次第となりそうですが……。でも巡り会う機会を高めることは出来ますよね?

 例えば、私の作品のほとんどは、私にとっては「面白い」作品です。多少の差はあるとしても、似たような「面白い」を含んでいるのでしょう。

 それを「面白い」と思ってくださる選考委員の方々がどれほどおられるかわかりませんが、大勢(おおぜい)とは思えません。だから、もしも1作品しか応募しなければ、そうした選考委員の方々とその1作品が巡り会う機会は少ないでしょう。

 しかし、もしも似たような「面白い」を含む作品を10作品、100作品応募したとしたら?

 単純に10倍、100倍にはならないでしょうが、それでも巡り会う確率は高くなるはず。


 というわけで。

 先ほどの「一次選考通過のためには、面白い作品を書いて応募すればいい」を少し変更して。

 ネット小説大賞で一次通過するための、私の結論。

 それは「面白い作品をたくさん書いて応募すること」となります。


 ……やっぱり身も蓋もない言い方かもしれませんね。でも、この「面白い」は、作者自身にとっての「面白い」で良いのです。

 一次選考通過のためだけならば、商業価値云々を考える必要はなく、ただ作者が書いていて楽しい作品で構わないのです。

 それで「面白い」作品が書き上がれば、同じくそれを「面白い」と思ってくださる選考委員の方々と巡り会うだけで、一次通過できるのですから! その巡り会う確率も、たくさん応募すれば応募するだけ、高くなるのですから!

 そう考えると、簡単なことのように思えてきませんか?


 何年も小説を書いていると忘れがちですが、「小説家になろう」で書いている方々は皆、小説を書くのが楽しいからこそ、書き始めたはず。今は書籍化デビューしておられる方々だって、最初は仕事として頼まれて書き始めたわけではないはず、と私は思います。

 誰でも最初は、周りの評価など気にせず、純粋に書くことを楽しんでいましたよね? もちろん、自分にとっての「面白い」作品を書いていたのであり、だからこそ楽しかったわけです。どんどん「面白い」作品を書けたわけです。

 今でも楽しい、という方々は、どうぞそれを続けてください。しかし、もしも当初の楽しさを忘れて、少しでも書くのが辛いと感じる時もある方々は、どうか初心を思い出してください。純粋に書くことが楽しかった時期を。


 そんな原点に立ち返れば、作者にとっての「面白い」作品は、いくらでも生み出せるではないですか!

 そして、それらたくさんの作品をネット小説大賞に応募すれば、いくつかは同じ「面白い」の感性の選考委員の方々と巡り合って、一次選考通過という形で評価してもらえる……。

 まさに、受賞以外でも楽しめるコンテストですね。改めて、ネット小説大賞は素晴らしいコンテストだ、と私は思うのでした。

   

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