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とある勇者の冒険記  作者: しろねこ
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一通の手紙





 


   ―――誰か...

..助けて...―――







 「あっ..!!」


 心地の良い爽やかな風と鳥の音が満たす部屋の中、その少年は飛び起きるように目を覚ました。窓の外から聞こえる人々の賑わった声に、少し遅めの起床を思わせる。木製の床に壁、真っ白の至って普遍的なベッドが、平凡な田舎の日常を彩っている。

 彼の名はカナタ。数え年で今年18になる。爽やかな雰囲気をまとっていて、とても誠実で真面目なほうである。そのためか、よくしゃべるわけでもないが、なかなかに人を寄せ付ける。


 「まただ...」


 そんな彼は最近、よく同じ夢を見ることを気にしている。それは今さっきまで見ていた夢でもある。しかし詳しいことは覚えていない。もともと夢を覚えていられる方でもないうえに、あまりに内容が薄い。唯一覚えているのは、叫びを圧し殺したような小さな子供の助けを求める声と、謎の虚無感。何度も見るその夢は、彼に違和感を感じさせるには十分すぎた。

 

 「大丈夫?お兄ちゃん」


 高めで中性的な女の子の声が響く。


 「あっ、大丈夫だよ。...ごめんね、びっくりさせて」

 「へーきだよ!僕、お兄ちゃんが起きるの待ってたから!!」


 彼女はルーナ。カナタと田舎町に暮らしていて、今年数え年で12歳になる。カナタはお兄ちゃんと呼ばれているが、ルーナはいとこであり、妹ではない。髪は短くボーイッシュに整えられた薄めの茶髪で、大きな瞳と活発な声が特徴。一人称は「僕」。布でできた『村人の服』に身を包んだ小柄な彼女は、ベッドの上で上半身だけ起こした状態のカナタに、体当たりをする勢いで話し掛けてきた。彼女はさっきまで隣の部屋にいたので、カナタが起きる音を聞いて飛んできたのだろう。


 「あのねお兄ちゃん。朝、リンカネイン城から手紙が届いて...」

 「リンカネインから?」


リンカネイン城とは、ここブランシュ村の隣にある城下町のことである。リンカネイン城といえば、基本的には町全体を指す。リンカネイン城は、盆地であるブランシュ村の山のふもとにあり、近くはないが、歩いて移動できる距離である。白を基調とした町で、ブランシュ村と比べると、とても発達していて都会的。人口がおおく、旅人なんかもよくくるため、武器や防具などが売っている場所や、宿屋が多くある。特にカナタのお気に入りの場所は、町の中心にあるきれいな噴水の公園である。よく町の子供たちと走り回ったりして遊んでいた。

...というのも、カナタはもともとリンカネイン城出身である。現にカナタの母親アリナは今も町に住んでいる(父親は旅に出ている)。では何故今こんな田舎町に住んでいるのかといえば、ルーナのためである。


 彼女はブランシュ村出身、母子家庭であったのだが、去年、母親アリサを亡くしている。リンカネイン城への道中で、土砂崩れに巻き込まれてしまったという。アリナとアリサは頻繁に会いに行く程に仲が良かった。土砂崩れに巻き込まれたときも、リンカネイン城に向かっていた時のことであった。そのため、アリナは非常に心を痛めた。そして、償いと称して残されたルーナを引き取ろうとした。しかしルーナがそれを嫌がってしまったのである。そこで、カナタがブランシュ村に行って自分でルーナの面倒をみることを提案し、二人は今に至る。


 カナタは、「ルーナはたった一人の母親が亡くなったのだから相当悲しんでるだろう」と思っていたようで、悲しんでる様子もなく、飄々とした態度のルーナにかなり拍子抜けした様子であった。ルーナ曰く、「母親なんて形だけでお金が無いを理由に子供の自分でもわかる程、雑な扱いを受けていた。むしろいなくなって清々している」とのこと。そんなルーナをみてカナタは見た目よりしっかりしている子かもしれないと感じたとか。


 「うん!まだ中は見てないけどね。」

 「どうして?」

 「お兄ちゃんが起きてからの方が良いかなって!」

 「起こしてくれてもよかったのに。」

 「えへへ。じゃあ開けるね!」


 未だにベッドで体を起こした状態のカナタは、ナイフと綺麗な柄の白い封筒をもったルーナの手を見ていた。

 

 「わっ!...お兄ちゃん、お城からだよ!!」

 「え!?」

 

 よく見ると明らかに軽い内容で送るようなものではない綺麗なその封筒のデザインが寝起きのカナタの目に焼き付いてくる。ルーナが、カナタが起きるまで待っていたのも納得がいく。


 「お城からってことは、王様からってこと!?」

 「そうとは限らないけど、重要な内容だと思う」

 「うわぁ!ドキドキする!僕が見ても大丈夫なのかな!?でも宛名に僕の名前も入ってるし、いいんだよね!!なんか緊張してきたー!落ち着いてからにしようかなぁ!」

 「.........」

 「あっ...今中身見るから!」


 ルーナがナイフをベッドの横に置いてある木の棚の上におき、封筒から中の紙をとりだす。封筒から城下町の空気が流れてくる。




 「えっとね...





『ブランシュ村のカナタ、ルーナ殿。明日の日が沈む前までに、リンカネイン城までくるように。あなた方に我々から重大な頼みがある。』




         だって..」






子供にも分かりやすく書かれたその文面からでも、平凡な田舎生活に多大な影響を与えるであろうことが想像できるほどに、それはとても緊迫する内容であった。


カナタの頬に当たる風が、少し力強くなったように感じた。






 次回からはカナタ目線で面白く書いていく予定です。


 ドラクエみたいなモンスターとか職業とかがでてくるので、かなりファンタジーな感じになると思います。少し先で、魔法戦士の男の子とか、僧侶の女の子とかを登場させる予定です。楽しみですね。


 ちなみにルーナのぼくっこは私の趣味です。ぼくっこ嫌いな人がいたらすみません(´・ω・`)中性的な声って書いてますけど、ようはショタボです。ルーナのこともよろしくお願いします!!

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