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βテスト終了の直前

作者: 五部 雅

  ーーーーはぁ。



  星屑一つ一つが光を放ち流星となって夜空を駆け巡る。

  そんな夜空に大きなため息が一つ。

  夜空に広がった星達は、自分達で輝き続けながらこの暗い世界を照らしていた。

  周りに明かりはなく、俺は広大な草原に座って夜空を見上げていた。少しだけ吹く風が俺の頰を心地よく撫でてくれる。



  草むらに転がっている石を明かりが消えた綺麗な街に投げる。

  その石は街の中に入る直前にポリゴンとなって消えていった。

  一定の距離じゃないと当たらないのか。要らない知識が一つ増えた。



  さっきまで賑わっていたこの草原とあの街も、人の影が一つもないくらいにしんと静まり返っている。

  なんたって、今日はβテストに過ぎないんだから。締め切りの時間はすでに過ぎている。自分達が好きな時間にログアウトできるような設定になっているから、いつでもこの世界には留まることはできる。

  長居し過ぎると、強制ログアウトさせられるな。



  そろそろ戻らないといけないのはわかっている。でも戻りたくない。これが現実逃避という奴だろう。

  いつまでもこの世界にいたいと心から思う。

  モンスター達も強制退出させられたのか、一匹も見当たらない。祭り騒ぎだった風景も今では嘘みたいだ。




「いっそ、現実世界がこの世界だったらいいのに……」





  プログラムで造られた偽装世界にポツリと無意味な事を呟く俺。

  彼女は愚か、友達すらいない俺にはあっちの世界にいる意味もない。まぁ、この世界でも友達いないんだけどね…………



  この星々が偽物だとわかっていても綺麗だと思ってしまうのはおかしいだろうか。

  全てが偽物。今手で握りしめている草も、俺が着ている服も、背に抱えた武器も。

  そして、俺自身も。



  メニューウィンドウ開いて設定を押す。

  設定の中にログアウトという文字が見えた。俺の指とログアウトの距離はどんどん縮まっていく。

  偽物でもいい。最後に俺は夜空に光る星に願った。







 ーーーーどうか、この世界が現実世界でありますように




 と。


 




  そして、俺の意識は現実世界へと戻っていったのだった。

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