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説明回
説明回です
この世界は、人間に厳しい。
当たり前の毎日は、その日終わりを告げた。消滅という、現象によって。
昨日まで居たはずの人がいない。名簿にも残って無い。メールアドレスも、電話番号も、SNSの連絡先からも消えている。まるで世界が、その人の存在を否定したかのように、記憶以外にその人がいたという証拠は無くなっていた。記憶の中にしか存在しない人、本当に居たのかもわからない人……消滅に対するその認識が間違っていたと気づいたのは、人口の8割がいなくなってからだった。ありとあらゆる都市の機能が停止して、はじめて人は記憶からも消えていると知った。
消滅が始まってから半年、消滅していく人間は減った。消滅の原因は不明のまま、社会はとっくに崩壊し、生きている人間はもう1%にも満たない。そんな消え行く世界で2人はそれぞれ望みを叶える為に進む。1人は幸せを望み、1人は消滅という現象の根絶を望んだ。2人は……




