表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
37/44

第三章 始まりの扉

 フィンの涙がエスタシオンの肩に染み込む──と同時に、予期せぬ交代が場に生じて。


「あら、ではお二人は両想いだったのですね」


 久々の「ネウマ」の屈託ない笑い声に、フィンは慌てて涙を拭った。

 赤面していたのだろう、まだほんのり顔が赤い。


「す、すまんネウマ。お前を巻き込むつもりじゃ──」


「いいんですわよ? フィンさんも、エスタシオンさんも、ずっと何らかの辛さを抱えていらっしゃいました。それが解放できるなら、わたしは本望ですわ。さあ、抱きしめるなり何なり──」


 大きく両手を広げたネウマに、フィンはひらひらと手を振って微笑んで見せた。


「気持ちだけ受け取っておくさ。ありがとうな、ネウマ。お陰で奴に心を伝えられた。有り得ない幸せだ。今は、それで十分さ」


 ネウマは小首を傾げると、何かを悟ったように頷く。


「あら、そうですの? エスタシオンさんは? ──ええと、“私も同じです、十分ですよ”だそうです」


 胸中に響いた声に、改めて首肯した。


 遠い想いを解放したフィンの表情は晴れ晴れとしていて、エスタシオンもまた同じで──ネウマは、少し──ほんの少しだけ羨ましそうに、しかしとても嬉しそうに、二人を眺めていた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ