第二話「んぁ、祐治か」
「ふぁ~あ」
大きなあくびが一つ、口からこぼれる。それによってじわりと視界がにじむ。
あー、だるい。朝の登校程めんどくさいことがあるのだろうか。そう思える位だるい。
昨夜行った受験勉強での寝不足がたたり、今俺の思考回路で睡魔たちがぐんぐん勢力を伸ばし始めている。
それにしても何であくびをすると涙腺が緩くなるんだろうか。俺なんか二回あくびをしただけで涙がこぼれそうになるから、堪えるのが大変なんだよなぁ。
なんてどうでもいいことを考えていたら
「よっ、おはよー。眠そうだな、こころ」
なんて声と共に肩をかけられて、髪をくしゃくしゃと撫で回された。
「んぁ、祐治か。夜にちょっと勉強してたらいつの間にか二時過ぎてて...」
「それちょっとじゃねぇよ」
頭におかれた手を払うと、苦笑しながらそう言われた。
真巻 祐治。俺のクラスメイトであり親友でもある良き理解者。外見も中身も学校上位であろう上、超陽気で人気者。
俺なんか足元にも及ばない。きっとこいつみたいな人間のことを人格者って言うのだと思う。
「あんま勉強に力入れすぎんなよー。センター前にダウンしちまうぞ?」
「あぁ、まあ頑張るよ」
「いや、だから頑張っちゃダメだって。頑張るのは息抜きだけでいいんだよ」
人への気遣いもできる。
俺から言わせてもらえば祐治は、何でもできる超人だ。スーパーサイヤ...んんっ、話がそれる。
まぁとにかく俺は、きっとこいつのことを羨ましいと思っているのだろう。
俺もこんな風になれたら。
泣き虫なんかじゃなくなるのだろうか...?




