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瞬花終答  作者: 銀色捺夜
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9

歩きながら、俺達は話した。

なぜ俺があそこにいたか、仕事だったこと、万屋をやっていること…


「ヨロズ…ヤ、ですか?」

「そう、いわゆる何でも屋だよ。頼まれたら何でもやる。…まぁ俺も入社したばかりだしな。」

「なんか、すごいですね。」

「たいしたもんじゃない。」

「でもかっこいいじゃないですか?」


そうか?


と話す。

前園も最初に比べたら大分自然体になっていた。


ただフラフラと歩いているだけで時間は過ぎていた。空は茜色へかわり、そして藍色に変わっていく。


結局どこによるでもなく、前園の家の前まできていた。


「今日はたくさん話せてよかったです!」


前園は笑顔で言う。


「ああ、あと今日話したことは秘密にしてほしい。」


「…はい。」


確認した後、俺は歩きだす。

しかし、前園の声で立ち止まる。


「今日、ありがとうございました。心配してくれてたんですよね?私嬉しかったです。」


俺は…心配してたのか?自分でそんなことは気にしてなかったが、ああ、確かに心配だったのかもしれない。


「俺、万屋。だからなんかあったら、すぐに助けてやるよ。何からでも、どんな時でも―」


「―金次第で」


前園が笑っているような気がしたけど、気にしない。

俺はそのまま、夜子が待つ仕事場へ向かう。





最初は、何が何だか分からないままだった。

ただ、手が真っ赤。

床も真っ赤。

目の前には真っ赤な肉片。

バラバラに千切れたら、それは綿でできた人形みたいだ。

ただ軽くちぎっただけなのに簡単にさけて壊れてしまう。


その壊すことが楽しくて楽しくてしょうがない。

薄く満足にその肉片を見下ろす。


思い出した。これが最初の殺人だ。


血のように紅い髪をした少女は、口を歪にゆがめる。


彼女は浅い記憶の中で、それを思い出す。


あそこから変わってしまったのか。

それとも変わることができたのか?


分からない。


1つ分かるのは、今は人を殺してしまうことだけが生きがい。唯一の生きる喜び。


だから、彼女は殺し屋になった。


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